249-3 計良 篤美/㈱リバックス建築環境計画 取締役 

2020年12月13日 at 12:17 AM

「コンプライアンス重視の時代」

今月は、「Barbizon23 ANNEX」の設計を担当された、㈱リバックス建築環境計画の計良篤美取締役にお話を伺います。

―「リバックス(REBACS)」というお名前の由来をお聞かせください。
計良:「Reborn Architectural Conception & Systems」の頭文字をとったものです。弊社は文字通り建築技術を活用した「建物の再生」をコンセプトに作った会社ですが、既存建物のリニューアルといった狭義の再生に留まらず、土地の再生や事業の再生、街並み再生など、幅広い意味での再生を包括しており、新築設計はもちろん商業施設のリノベーション、コンバージョンなどにも取り組んでいます。

―街並み再生ですか?
例えば鎌倉の材木座海岸に2016年竣工した「ZAIMOKU the TERRACE」は、廃墟となっていたホテル・レストランを取り壊し、新たな商業施設として再生するお手伝いをしました。現在は会員制サーフクラブやヨガスタジオ、テラス付きのホテルなど、その眺望を生かしたシーフロントらしいテナントが入居していますが、近く新たにシェアオフィスがOPENします。コロナ禍でワーケーションという言葉を耳にするようになりましたが、相模湾を一望するこの小さなオフィスが、新たなワーケーションの拠点としてビジネス交流の場となることが期待されます。街並み再生は言い過ぎですが、このように新しい施設が生まれ、時代に合ったテナントが入ると、そこに人が集まり人の流れができる。そして周りに新たな施設ができ、また人を呼ぶ。そうして街は新陳代謝を繰り返します。材木座のケースでは廃墟が再生することによって防犯防災上の不安が解消されたと近隣住民の皆様も喜んで下さいましたが、手掛けた建物が一つのきっかけとなって、このような好循環が生まれ、地域の再生につながったことは嬉しく感じています。

―計良さんご自身はいつごろから設計のお仕事を?
計良:大学の建築学科は卒業したのですが、当時はバブルの時代。国内外のリゾート開発に携わりたくて、都内の中堅デベロッパーに入りました。そこでは事業主側の視点でホテルやオフィス、リゾート施設等の開発事業に携わり、資金調達の仕組みや事業収支の考え方のほか、建物の管理や運営側の視点を学びました。
次にグループの再編成で、技術系の部署と子会社を集めた建設会社に配属されました。ここではビル内外装の改修工事など施工者として現場の苦労を体験した一方、親会社が保有する建物の長期修繕計画の策定に携わり、ライフサイクルコストという視点で建物を捉える考え方を身につけました。
その数年後、今度は設計監理という立場でマンション、福祉施設、商業施設などの設計に携わり、現在に至ります。施主、施工、管理、運営、そして設計と同じ建物でも様々な立場で関わってきた経験が、現在の設計思想にも生かされていると思っています。

―設計について特に意識していることはありますか?
計良:「付加価値の創出と再生」でしょうか。不動産事業で設計者が期待されることは、その敷地に対してどれだけの付加価値を創出できるかだと思います。敷地のポテンシャルを最大限に生かしたボリューム、ロケーションに合った空間構成、商品価値を高めるデザインなどは敷地に大きな付加価値を創出します。また耐震性や防犯性、快適な設備は建物の付加価値を高め、高い耐久性を持つサスティナブルな計画であれば、その価値が長期に渡って維持されます。
既存の建物でも同様です。近年コンプライアンス重視の観点から、安全性や遵法性に不安のある建物はテナントが避ける時代になってきました。かつて収益をあげようと違法に増床した建物が、逆に建物の価値を下げ、収益の足を引っ張るケースも増えてきています。遵法性だけでなく物理的、機能的、社会的に劣化し、価値が低下してきた建物は、その要因を調査し、解消し、価値を高めて再生する。我々の仕事が一層重要になってきていると感じます。

-本日はありがとうございました。

 

㈱リバックス建築環境計画
所在地:千代田区岩本町3-8-15
電話:03-3864-6611
設立:1994年
代表取締役:大谷晴彦

計良 篤美(けいら あつみ)
1967年 北海道生まれ
1991年 横浜国立大学建設学科卒業 都市計画専攻
タウン開発株式会社入社
1995年 株式会社リバックス建築環境計画入社
2003年 株式会社リバックス建築環境計画 取締役および管理建築士