250-3 谷尻誠・吉田愛/SUPPOSE DESIGN OFFICE

2021年1月9日 at 10:40 PM

「建築のその先を考える」

今月はSUPPOSE DESIGN OFFICEの谷尻誠氏、吉田愛氏にご登壇いただきます。
―2012年、弊社では沼袋の集合住宅「La Torretta」を施工させいただき、谷尻先生にいろいろとお話を伺いました。今回は、まず吉田先生にご自身の建築に対する取り組み方などをお聞かせいただければと思います。

吉田:常に皆が持っている既成概念を変えるようなものを作りたいと考えています。トイレ1つとってもその概念をどう壊すか、どんな制約があるかを考えると、建物の可能性が広がります。それから私は外が好きなんです。ものの動きがない内部はあまり得意じゃない。自然が持っているすごさを感じ、建築という人工物の中に想定できるものを考えていきたいですね。

―これまで東京・広島と2拠点に活動を続けられていますが、2017年に、東京事務所を社員食堂であるカフェなどを併設したスペース「社食堂」として、リニューアルオープンされました。ずいぶん広く、一般の方も食事ができるのですね。

谷尻:設計事務所というより新しい働き方を体現するというものですね。「絶景不動産」という会社も作り、一緒に入っています。見捨てられた場所からどういう空間をつくるか。協業し、何を建てるべきかを考えています。

吉田:思い出深かったエリア・イノベーションに昭和の鉄骨造の旅館の再生プロジェクトがあります。さびれていた旅館に本屋を組み込み、「本屋でありながらホテル」というものを作ったのですが、受付は少し離れている建物に置き、全体に機能を分散させ魅力的なコンテンツを作りました。すると街の人やそこに入ってくる人たちが新しい事業を展開する動きが出始めました。最初の起爆剤となることで街が活性化する―社会問題を建築やインテリア、デザインが解決することを目の当たりにしました。

谷尻:僕らがやっていることはすごい「建物」をつくることではなくカスタマーとしてそこにあってほしいものを大事にすること。建築家はコンセプトを考え、「それを建物という形に落とし込んで完成させる」と言われますが、僕らにとってそこは通過点。その先の「どう使われるか」を射程距離としてとらえています。

吉田:考えること、考え続けることに興味があり、私たちはその部分を求められていると思います。デザインだけでは好みや時代性もある。でも新しい考え方、方向性をアウトプットしていくことが何よりも需要があるのだと思います。

谷尻:自分たちは設計がそんなにうまいとは思っていない。それでも設計を頼まれるというのは、そこだけでない部分に寄り添っているところが大きいんじゃないかな。

―最後にこのコロナ禍についてのお考えを聞かせてください。

谷尻:働き方だけでなく暮らしそのものを考え直す、いいきっかけになっている。これくらい衝撃的なことがないと社会全体がそこに向き合わない。ハッピーではないけれでも自分たちを見つめ直すいいタイミングになっていると思う。うちの会社も設立20周年を迎え、仕切り直しをするいいタイミングです。

吉田:この出来事で唯一良かったことは、世界中が同じ状況になって一緒になって考えるというスタンスが生まれたこと。皆「なぜこうなったんだろう」「自分は実際何がやりたかったんだろう」と考え、本質的にやりたかったことが明らかになっていく。私たちもどういうことをやっていくべきか考える機会になっています。

―本日はどうもありがとうございました。

 

谷尻 誠(たにじり まこと)

1974年 広島県生まれ
1994年 本兼建築設計事務所
1999年 HAL建築工房
2000年 建築設計事務所suppose design office 設立
2014年 SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 設立 共同主宰

穴吹デザイン専門学校非常勤講師、広島女学院大学客員教授
武蔵野美術大学非常勤講師、昭和女子大学 非常勤講師など。
2015年- 大阪芸術大学准教授
社食堂、絶景不動産、21世紀工務店、未来創作所、Bird bath & KIOSK、tectureを経営

 

吉田 愛(よしだ あい)

1974年 広島県生まれ
1994年 穴吹デザイン専門学校卒業
1994年 株式会社井筒
1996年 KIKUCHIDESIGN
2001年 Suppose design office
2014年 SUPPOSE DESIGN OFFICE Co., Ltd. 設立 共同主宰

2017年 絶景不動産株式会社設立 共同主宰
2017年 社食堂開設
2018年 Bird bath & KIOSK開設