239-1 街の進化

2020年2月13日 at 11:10 PM

「ESCENARIO OMOTESANDO」 撮影:バウハウスネオ

表参道ヒルズなど大きな商業ビルが立ち並ぶ神宮前。大きな通りの裏手には静かな住宅街が広がり、小粋な店があちこちに建っています。
写真は、その神宮前に昨年、竣工した店舗併用集合住宅です。

「この街は、昔の自由が丘、その前の代官山や吉祥寺に通じる、街の進化を見ることができる面白い場所でもある」と設計の木下道郎氏。
「街は、渋谷、新宿、銀座…など、巨大な商業地域だけではなく、進化で言えば、ほどほどの時期が一番面白くて、魅力的だと僕は思いますね。都市というのは、ものと同じように成長し、衰退していく。ものすごく大きくなって活力にあふれる時期が来る。でもその前に生き生きとした、魅力的な時期があって、僕はこの、ちょうどほどよい時期を迎えている神宮前で、今仕事ができることをとてもラッキーだと感じているんだ」と話してくださいました。

リーマンショックの後、プロジェクトが止まってしまって空き地になっていたところがたくさんあった神宮前。いまや新たな建物が建てられ、戸建住宅から集合住宅や小さな店舗ビルに建て替わるところも少なくありません。
その時にも、これまでのようにプライバシーとセキュリティに配慮した、外へは閉じた形のものよりも、最近ではリニューアル物件同様、地域に開かれた形を組み込んだデザインのものが多く見受けられます。小さなスペースでも、その路地を工夫することで、地域の人の関わり方を効果的に変えることができます。災害・エコロジーに配慮し、耐震・防火性能を持った建物、共用スペースに開放感あるプランで、エコにも配慮した形が求められています。クリエイティブな人々が往来する地域に建つ建物としての、デザイン性の高さも捨てるわけにはいきません。

ファミリーレストラン最大手「すかいらーくホールディングス」が、半世紀にわたって続けてきた24時間営業をすべての店でやめることになりました。24時間営業を廃止する動きが広がった背景に、SNSのおかげで、若い人たちがわざわざ深夜に会ってコミュニケーションをとる必要がなくなったということがあるそうです。
しかし、自宅近くに何となく立ち寄れる場所があるというのもいいものです。人と人との出会いは、やはり生身の人間同士が話をすることから始まります。

今月、P3のフロントラインに登壇いただいた㈱モデリアの郷内秀峰社長は、学生の頃から留学経験が豊富で、特に好きだったのがロンドンとおっしゃいます。「初めて買ったレコードもビートルズ」とのこと。日本と英国は、エンペラーとキングダムの国。しっかりとした、揺るぎのない価値観を持つ、共通のものを感じるということです。その上で、海外に出ると、国内では気が付かない世界の中での日本の位置を実感されるのでしょう。

一時期、減ったといわれている日本の海外への留学生数もアジアなどへの短期留学生の増加で数は増えていますが、このままではますます国際化やグローバル化が進む国際社会の中で発言力や存在感を失うと、いわれています。
若い人には、海外とは言わないまでも、まずは街へ出て、人とコミュニケーションを取る力を養う機会は持ち続けてもらいたいものです。

安全で清潔で素晴らしい自然環境を持つ日本にやってくる外国人を抜きにしては、これからの地域経済も語れません。
春節で訪れる中国の人たちの多さに喜んでいたのも束の間、今年は新型肺炎の流行という恐ろしい事態が引き起こされています。世界はいろんな意味でつながっているのだと、改めて思い知らされています。