242-1 NY

2020年5月12日 at 10:49 AM

「1511ビル」 Photo:Kazuki Watanave

写真は、昨年11月にお引渡しした法律事務所を併設した住宅です。神宮外苑の銀杏並木のすぐ近く、静かな小道に面しています。
建て主の桝實秀幸様は、このご自宅兼事務所を建築する際、30年来の友人である大塚彰宏氏と、アメリカで知り合った西本尚子氏のお二人に設計を依頼したいと考え、この度のコラボレーションが実現しました。
桝實様からの数少ないご要望に「とにかく頑丈なもの」とあったたため、大塚氏はRC造を選択、施工は江尻建築構造設計事務所の紹介で辰に依頼されました。
デザインについては、基本的にお任せ。ただし、ニューヨーク(以下 NY)に住まれたこともあり、NYという街が大好きな桝實様が、「NYを感じられるものを」というお題を出されました。そして最後に「雑誌に載るような素敵なデザインのものを」と一言付け加えられました。

さて、NYを感じられるとはどういう感じなのでしょうか?
古いビルを一棟丸ごと買ってリニューアルするのが、ニューヨーカーのスタイルと聞いたことはありますが、留学したことのある西本氏はどんなイメージを持っていたのでしょうか。
「留学で最初にヨーロッパに行きましたが、古い建物がとにかく多いという印象でした。一方で NY は特徴的なデザインを取り入れた新築の建物が年々数多く建築されているのですが、築50年を超える古い建物も多く、 古い建物はリノベーションしてかっこよく使っていて、ロフトという一つのスタイルになっています。最先端の国・都市に行きたいと思いNYを留学先に選びましたが、NYで街歩きをするうちに、新しいものと古いものが混ざりあっている街並みがとても気に入りました。桝實様の話をお伺いしていると、建築に限らず重厚感があり、落ち着いた趣の物がお好みのように感じました。」
大塚氏も、「新しいものではなく、すごく古いものでもなく、少し前の彫りが深くて味のあるいぶし銀のような建物。 それらが街並みを作っていて、それが NYらしさなんじゃないかな」と 振り返ります。
「1511ビル」もシンプルな縦長の開口部に外苑の緑の木々が映り込み、上品な雰囲気の落ち着いた色の外壁が法律事務所の信頼感、安定感を表しています。
ちなみにこれまでリノベーション物件を多く手掛けてきた大塚氏は当初、竣工写真をカメラマンに依頼したとき、新築ではなくリノベーション物件と勘違いされたといいます。
「でもそれは設計者としての狙い通りのイメージを持ってもらえたわけで、『シメた!』と思いました」と大塚氏。
新築の建物でありながら、あたかも元から建っていたかのように違和感がなく、確かに建物が自然な街並みを形作っています。
「単純なコピーではない、『東京でのNYらしさ』を実現したかった」と口を揃えられる大塚氏と西本氏。桝實様もその出来栄えにはご満足のようです。

そんなNYですが、この新型コロナウイルス感染症の世界的流行の中、都市封鎖という事態に見舞われ、人っ子一人いない風景がTVに映し出されていました。人口などの規模がNYとよく比較される東京も他人事ではありません。政府は4月7日、「緊急事態宣言」を出しました。全現場停止措置をとった会社もあり、弊社も、現場の衛生管理の徹底はもとより、建築資材の入荷など影響が出始めることは否めませんが、できるだけ皆様にご迷惑をかけることがないよう、一致団結して対応してまいります。