244-01 人の手が織りなす建物の魅力

2020年7月11日 at 5:23 PM

「LANAI GRACE KITA AOYAMA(ラナイグレース北青山)」 撮影:エスエス東京

写真は東京メトロ銀座線「外苑前」から徒歩5分、高徳寺境内に接する閑静な住宅街に竣工した共同住宅です。以前、芝公園でも施工させていただいた㈱ランドビジネス様の企画で、「北青山」の場所の特性を考えた、住宅兼事務所・SOHO の高級賃貸マンションです。周辺はハイグレードの大きなマンションやコンクリート打ち放しのミニマルな共同住宅など、デザイン性の高い建物の建設があちこちで進められています。そんな中、この建物は細部にわたり、きめ細かいデザインや色遣いが感じられる上質な趣をたたえています。
今回は、3-5月のコロナ自粛の中、リモートワークでお仕事をされている㈱ランドビジネス建築設計部部長矢野茂様に寄稿いただきました。まず、この建物の企画のお話から。

「街並みの中での魅力ある佇まい、風情」
建物の在り方としては新奇性を求めず、街並みの中での魅力ある佇まい、風情が 50 年、100 年保たれるような懐の深い建物を目指しています。
魅力のある佇まい、風情を造り上げるには設計図も重要ですが、それ以上に現場での造り込みが重要になります。 精魂込めて造られた「物」に人は魅力を感じ、感動しますが、「建物」も同じです。
音楽に例えれば、設計図は楽譜であり、優れた指揮者、演奏者がいて初めて感動的な音楽になります。建物も同様に設計図を読み込み、街並みの中でどのような佇まい、風情が可能かを深く考え、具体的に様々な材料を厳選しそれぞれの材料を生かし、匠の技を用いて調和のある全体を造る事で初めて人に感動を与える魅力のある建物になります。

「継続している時間の感覚」
ヨーロッパには風情のある街並みが多くあります。人々が共通意識を持ち長い時間と多くのエネルギーを掛けて造り上げられて来た街並みです。
仕事で行った時に泊まったイタリアの地方都市の小さなホテル、レストランは「新しい物」と「古い物」が互いにインスパイアされた豊かな空間があり、日常生活の中に「新しい物」、「古い物」単独では得られない豊かな空間が造られていました。 そして街全体に継続している数百年の時間の中にいるような豊かな感覚がありました。(矢野様のテキストから。建物詳細についてはp2へ)

今回の工事では、前面道路、そしてお寺の境内へ延びる道と、参道へと続く小さな私道の整備も行いました。赤いレンガを敷き詰めた歩道は、この先の周辺の変貌も見据えて、近隣の人々に優しい暮らしやすい環境を整えています。