86-1 レコード店に繰り出そう♪

2007年2月8日 at 2:45 PM

ペットサウンズビル 撮影:平井広行

「“Pet Sounds”ペットサウンズ」と聞いて、ビーチボーイズの有名なアルバムが思い浮かぶあなたは、かなりのロック通。「若かりし頃、いろんな音楽を聴いたのに最近はとんとご無沙汰」という方も、今月ご紹介するこのビルのレコード店に立ち寄れば、懐かしい音楽とともに青春時代を思い出すかもしれません。

写真は武蔵小山の「ペットサウンズ」というレコード店のオーナーがこのたび駅前再開発に伴い、移転して、新しく建てたビルの屋上テラスです。広々としたデッキと開かれた室内空間は、ご家族や音楽を通じて知り合った方たちとの楽しい憩いのスペースとなることでしょう。

お店では、「店長お奨め」とか「今週・今月の1枚」など、売り場に並んでいるCDに付けられた店長と息子さんの自作のコピーが目を引きます。中には昔聴いていたバンドの「メンバーの娘です」とか「息子です」と書かれたものも。そんな注釈をつけた新人の新譜は思わず手にとって試聴したくなります。

いまや、インターネットのサイトでワンクリックすれば、CDは簡単に手に入りますが、お店にやってきて店長の薀蓄に耳を傾け、改めてアルバムのプロデューサーやプレイヤーの関係を知ることで、知識はますます深くなり、気に入ったアーティストの別のアルバムも聴いてみたいという思いにさせてくれます。美しいジャケットを見つけて「ジャケ買い」したり、若い頃は出来なかった「大人買い」もしてみたり、実際のお店ではいろいろな楽しみ方があるのです。なにより店長とのおしゃべりが、一番でしょう。

「この店のことを知ったのは落語の情報誌だったというお客様も見えたことがあるんですよ」と思わぬ引き合わせを披露してくださる店長。お笑い関係の人が雑誌に店の紹介記事を書いてくれたり、近所にあるレスラーの高田延彦の道場に取材に来た落語家の春風亭昇太が編集者に連れられて店を訪れたりと、コアな音楽ファンにはその存在をよく知られている店なのです。

音楽知識の深さを買われて店長自身がライナーノーツや専門雑誌の執筆を依頼されるなど、音楽を通していろいろな分野の方との交流の輪が広まっていきます。お話を伺っているうちに、小中学生、高校生など若い人たちに、もっと音楽の魅力を知ってほしいというお気持が伝わってきました。

ビーチボーイズ、ビートルズ、ボブ・ディラン、ローリングストーンズ、ジミ・ヘンドリックスなど、60年代ロックの王道プレイヤーだけでなく、山下達郎や吉田美奈子、はっぴいえんどなど、70年代の日本の新しいポップスを作ったアーティストたちへの店長の好みも伺い知ることができて、少し年下のこちらも重なる部分を感じてうれしくなりました。
最近はラジオ番組の良さが再認識されているようです。i-pod もMP3も時代を反映して避けられないものかもしれません。でもお店に行って、レコード、CDを買うという行為は特別なのです。
家に帰って息子の本棚に“Pet Sounds” のCDを見つけたときは、我が家の音楽環境もまんざらではなかったかな、とちょっとほっとしました。