258-3 「 音楽と建築」 山本卓郎/山本卓郎建築設計事務所

2021年9月13日 at 9:58 AM

今月は「空のある音楽ホール」の設計者、山本卓郎氏にお話を伺いました。
航空機設計を志し京都大学工学部機械学科に入学されましたが、そこで建築に出会い、志望を転換して早稲田大学理工学部建築学科へ入学し、建築を学ばれたそうです。

―機械工学から建築がいいと思われたきっかけはなんだったのでしょうか。
山本︓京都大学時代にジャズをやってまして、その時の友人に建築学科の学生が多かったんです。「ジャズ」と「建築」は努力して真剣に楽しむものという意味で似ているらしく、相通ずる部分があるみたいですね。友人の一人に誘われて建築学科の研究室に行ったのですが、研究室の壁にはロバート・メイプルソープの美しい花の写真のポスターが貼ってあったんです。一方機械学科の研究室には、アイドルのポスター。どうやら建築学科の方が気が合いそうだ、と思ったのが興味を持ったきっかけです。

ー建築学科に再度入られるとしても受験するには時間が必要だったのではないですか。
山本︓そうですね、京都大学を卒業してすぐに建築学科というわけにもいかなかったので、一般企業に就職して一年半勤めたあと退職し、半年くらい勉強して早稲田大学と京都大学の編入試験を受けました。両方受かりましたが、建築学科の友人に建築をやるのなら東京へ行くほうがいい、と勧められて早稲田大学に進学することになりました。

ー早稲田大学ではどの先生に建築を学ばれたのでしょうか。
山本︓卒業論文は古谷誠章先生の研究室でした。4年生くらいの頃からアトリエ・ワンの作品に興味を持ち始め、塚本先生のいる東京工業大学の大学院に進学することも考えたのですが、早稲田の大学院には推薦で進学することができたので、その時点で塚本先生に師事することにはなりませんでした。その後、大学院を卒業したもののアテにしていた仕事の話がなくなり、急遽新たな行き先を探さなければならないぞ、となったのが4 月2 日のこと。
ダメで元々とアトリエ・ワンの塚本先生にメールでコンタクトしたところ「来ていいよ」と。大学院を検討する際にお会いしてお話したのを憶えていて下さったんですね。それでアトリエ・ワンへ行くことになったんです。

ーアトリエ・ワンの塚本由晴先生・貝島桃代先生は全国的にご活躍されていますね。
山本︓国内だけでなく、当時からお二人とも世界的に活躍されていて海外でも教鞭をとられていました。住宅設計の依頼も多数あり、毎日忙しくされていましたね。

ー独立後は、住宅設計を中心に、多方面で設計をこなされる山本先生ですが、今回の「空のある音楽ホール」はどういった経緯で設計されることになったのでしょうか。
山本︓建て主さんの構想自体は13 年くらい前からあるものなんです。最初は山裾の土地に別荘兼演奏するスペースを作ろう、という計画でした。ただ、なかなかお客様にきてもらえそうにないということもあり、紆余曲折を経て最終的には「やはり東京で」ということになりました。ご自宅も近いし、ここは生活の一部として使えるようにと奥様へ配慮されたご主人からのプレゼントなんだなと我々は解釈しています。ご主人ご自身もセミナーのような形でお使いになることが想定されており、音楽に限らず様々なジャンルでお二人の発信源として使っていただけるとうれしいですね。

ー素敵なお話ですね。本日はありがとうございました。

 

山本 卓郎(やまもと たくろう)

1973 年  滋賀県生まれ
1996 年  京都大学工学部機械学科卒業
1996 ~ 97 年 日本電気株式会社
2001 年  早稲田大学理工学部建築学科卒業
2003 年  早稲田大学理工学部建築学科大学院卒業
2003 ~ 05 年 アトリエ・ワン勤務
2005 年  山本卓郎建築設計事務所設立
2010 年  『F-WHITE』で 「DESIGN FOR ASIA 2010」 銅賞
2011 ~ 13 年 芝浦工業大学非常勤講師
2014 年  『白い洞窟の家』で「THE INTERNATIONAL
ARCHITECTURE AWARDS」受賞
2013 ~ 15 年 早稲田大学非常勤講師
2017 年  『大きなテラスの小さな家』で「GOOD DESIGN
AWARD2017」受賞