259-1 住む人の記憶に残る生活空間

2021年10月11日 at 8:17 PM

写真は、品川区に今年竣工した共同住宅です。地下1 階、地上3階のコンクリート打ち放しの建物は、篠原聡子氏主宰の空間研究所の設計です。建て主のK 様を取材しました。

K 様が子どもの頃から馴染みのある高輪台で共同住宅を建てることになりました。スペイン語で「陽だまり」という意味のSolanaと名付けられた建物を計画するにあたり、比較的間取りに余裕を持たせること・明るいこと・収納が多く使い勝手がよいこと、の3 つの要望を出されました。

三面道路に面したL 字型の高低差のある計画地には、以前は2 棟の木造2 階建ての賃貸住宅が建っていました。すべての住戸に光を取り入れられるようにアプローチ通路は三方向の計画とし、出窓のある白い壁に囲まれたその明るい吹き抜け通路はまるで路地のようです。室内は打ち放しと木の温かさ、白色のアクセントが住む方の暮らしを引き立てる内装になっています。

設計事務所に出会うまではK様ご自身で色々と調べられたそうです。そんな中「シェアハウス図鑑」(2017 年彰国社)という篠原氏が執筆された本を読み、面白そうだと連絡をされました。「デザインのエッジを立て過ぎると住みやすさと両立が難しいですが、そのデザイン性が居心地の良い空間を作っていらっしゃる篠原さん、金子さんのお二人を信頼してお任せしました」とK 様。

外構には二重のメッシュフェンスが設置され、外からは見えにくく建物の中からは外がよく見えます。採光や通風もよく、住宅地で周辺を行き交う人の気配が感じられる心地よい空間になりました。当初、入居者は20 代から30 代の女性やご夫婦などを想定しており、人生のステージが変わり別のところで暮らすことになったとき、「あぁ、あそこに住んでよかった」と記憶に残るような建物になるといいな、とK 様はおっしゃいます。

また、よく通るところに2017 年竣工のarchitecture WORKSHOPの北山恒氏設計のPeak Cottage があり、3 年ほど定点観測されたところ、いつまで経ってもきれいなコンクリート打ち放しに感動し弊社にお声掛けいただいたそうです。今回完成した建物もきれいに仕上がり大変満足とのお言葉をいただくことができました。また、入居された方からは土間キッチンや造作家具など反響いただいているとのことです。

この周辺には計画道路の予定があり、今回の建物はその変化に対応できるよう配慮し設計されました。建物に居心地の良い生活を求めて人々が集まり、その心地よさが地域に広がり品川エリアの変化に合わせてどのように感じられるのか今から楽しみです。