266-1 みんなが、みんなの子どもを育てる

2022年5月13日 at 4:02 PM

写真は、東京都清瀬市に竣工した児童養護施設と地域の子どもたちのための地域センターです。西武池袋線「清瀬」駅は池袋駅からおよそ電車で3,40 分のところにあり、駅前から南西にのびた商店街は昭和時代を思い出させる肉屋や八百屋、飲食店が並び 地元住民が行き交います。商店街を通り抜け、そこからのどかな住宅街を5 分ほど歩いたところが今回の計画地です。

社会福祉法人「子供の家」は1949 年に戦災孤児の受け入れのため、ここ清瀬市松山に設立されました。その役割を終えた後も「子どもの貧困」や「子どもへの虐待」など現代社会に絶えない問題により、今まで多くの子どもたちがここで生活し、巣立ち、ときにはふらっと帰る場として受け入れ続け現在に至ります。ホール・事務所・会議室などがある建物の先にはグループごとに生活する2階建ての生活棟が建ち並びます。2013 年に現早川悟司施設長が副施設長に着任したのを機に同じ敷地内に地域の子どもたちに開けた地域センターの建築計画がスタートしました。そして8 年ほどの月日を経て2022 年2 月にショートステイの受け入れがスタートし、4 月には「そだちのシェアステーション・つぼみ」が開所いたしました。

児童養護施設として、また子どもたちにとってどのような建物が理想なのか、加藤前理事長の作成したプランを基に江川修己現理事長が練り直したものが今回の計画の道しるべとなりました。これまでは長期滞在と短期滞在の子どもたちが同じ建物で生活していましたが、今では清瀬市・東久留米市・豊島区からショートステイの受け入れをしていることもあり子どもたちの人数が増え、今回の計画の建物2 階に移転・拡充されることとなりました。

「そだちのシェアステーション・つぼみ」は日本財団の「子ども第三の居場所」の助成事業です。この事業は家庭の抱える困難が複雑になり、地域のつながりが希薄になるなか、すべての子どもたちが安心して過ごせる環境で将来の自立に向けて生き抜く力を育む「子ども第三の居場所」を全国に広げ、「みんなが、みんなの子どもを育てる社会」を目指しています。一昔前までは当たり前だった、地域の人たちとのつながりや「お互いさま」の関係が核家族化や少子化、はたまた社会経済状況により変化してきました。それと同時に児童養護施設のあり方も見直され、効率重視の大舎制から中舎制、そして家庭環境により近くなるようにと変化してきました。

「そだちのシェアステーション・つぼみ」という施設名からは、子どもたちとの関わりかたもこれまでの「サポート」から「シェア」へ、これがニュースタンダードとなるようにという未来への希望を感じます。また、オリンピックのエンブレムをデザインした野老朝雄氏の手がけた施設のロゴマークは、広がり・つぼみ・未来を表しています。子どもたちにとって安心して過ごせる居場所とはどのような環境で、どのように地域とのつながりが生まれる計画になったのかをご紹介します。