170-1 国際化

2014年5月9日 at 11:55 AM

東京外語専門学校 撮影:時空アート

ギリシャ、エーゲ海の島々を巡る旅に行ってまいりました。古代ローマ、さらにさかのぼるギリシャ文明の遺跡を見ると、紀元前だというのに、上水道、下水道を備え、大きな浴場があって都市に入る人間はまず浴場に入らなくてはならなかったそうです。多くの人々が行き来する、世界の中心地であったことが遺跡からでも伺えます。
さて、島を巡る船旅では、海上での人命の安全のために国際条約(SOLAS条約)で、乗船後24時間以内に避難訓練を行うことが義務付けられています。全ての乗客が乗り込んだら30分もしないうちに警報がなり、訓練開始のアナウンスが英語、ギリシャ語、ラテン語、そして日本語で繰り返され、乗客は全員、キャビン内のライフジャケットを装着して、7階のデッキに向かいました。ちなみにデッキは9層。事前知識もなく、いきなりいろいろな言葉でアナウンスされたら、さぞや混乱することでしょう。ライフジャケットの装着も経験するのとしないのでは大違いです。ジャケットについている番号の場所に行くと、グループリーダーのクルーが救命艇の前にいて待っています。全員集合したことを確認して、避難訓練は終了。日本でも大型客船では行われるでしょうが、私はこれまで船に乗ってそんな訓練をしたことはありません。韓国の悲劇的な事故は、他人事ではありませんでした。

楽しい旅の思い出はさておき、海外で地図を眺めていて改めて思うことは、日本は本当に世界の「はじっこ」だということです。周りを海に囲まれ、東側は太平洋の海原です。それに比べて陸続きの国々のなんと複雑で、バラエティに富んだことでしょうか。歴史を共有し、民族が混じり合い、その距離感を実感します。日本を訪れてくれる観光客はほんとに奇特な人々と言えるでしょう。日本が真ん中の地図は日本でしか使われていません。観光庁の年間入国旅行者数ランキング(2012年)を見ると、1位はフランス8,300万人、2位はアメリカの6,697万人、そして中国が5,772万人と第3位。その後はスペイン、イタリア、トルコ、ドイツとヨーロッパの国々が続きます。日本はマレーシアや香港はもちろん、韓国(1,114万人)にも追いつかない825万人。世界で33位、アジアで8位でした(2013年の日本の外国人入国者数は1,125万人で,大幅な増加となりましたが)

旅行者だけではありません。留学生もどうでしょうか。政府は2008年、「留学生30万人計画」を発表しました。日本への留学生を2020年までに14万人から30万人に増やすという計画ですが、現在、17万人。全学生に占める留学生の割合は、非英語圏のドイツ(12%)などに比べて、3%とまだまだ低い方です。ちなみに英語圏のアメリカやイギリスでは25%前後です。世界の留学生市場は拡大しており、東京オリンピックのある2020年には600万人近くになって、現在の日本のシェア5%を維持するには約30万人という数字が出てくるのです。
安倍政権は4月4日、外国人労働者の受け入れを増やす方針を発表しました。復興、公共事業の増加、東京オリンピックの準備、と人手が不足している建設業界で、これまで最長3年間しか日本に滞在できなかった「技能実習」を終えた外国人が、追加で2年間働けるようにしたほか、いったん帰国しても最長3年間の再入国を認めることになりました。これで6年間滞在できることになります。2020年までの時限措置と言われ、治安や不法就労の問題、賃金水準が下がるという声もありますが、現在の日本の労働人口は6600万人。これが2060年には4000万人に減ると推定されており、建築だけでなく、介護、医療の現場でもより多くの外国人の労働力が必要とされています。それでなくとも食糧自給率は先進国でも最低水準、エネルギー自給率に至っては4%と、日本は海外とのつながりを大事にしなければやっていけません。写真は3月完成した留学生のための外語専門学校のファサードです。日本語を学んだ方々が、良い環境の下、日本で就労し、継続的な信頼関係を互いに築いていければと願います。