176-1 聖坂

2014年11月24日 at 1:49 PM

写真左:聖坂(撮影:編集部) 写真右:長谷川ビル(撮影:アック東京)

今月は、港区三田の事務所併用住宅のビルのご紹介です。1階から3階までは事務所で、上層階が住宅ですが、セットバックがあるため、後ろ側は道路から後退して7階になっています。そのための工夫がほどこされています。

さてビルの建つ「聖坂」は、「古代中世の通行路で、商人でもあった高野山の僧、高野聖(こうやひじり)が開き、その宿坊もあった」と言われています。江戸幕府が開府され、東海道を整備するまでは西国へのメインストリートだったという、由緒正しい通りなのです。
坂の上の向こう側からが江戸の町で、坂上の交差点は「御田」と言います。この地域一帯は、朝廷に献上する米を作る屯田(みた)が存在したからということで、三田という地名もそこから来ているようです。30m南側の第一京浜の先は、昔は海だったとのことで、坂の上からの眺めはずいぶんと違っていたことでしょう。

訪れてみると、お寺が多い地域ですが、ミッション系のスクールや新興宗教の建物、小さなお宮さんもあり、まさに今はやりのパワースポットを感じさせるところです。なかでもクウェート大使館のイスラム圏ならではの装飾は目を引きます。上層階が浮かんでいるかのようなダイナミックな建物は、実は丹下健三氏の設計(1970年)。 ちょうど撮影に訪れた時、女子学生が一生懸命スケッチをしていました。尋ねてみると、丹下さんの建物が好きで、建築学部に入った大学1年生でした。
それならば、と、少し下った反対側にある、奇妙な打ち放しコンクリートの現場も教えてあげました。

「究極のセルフビルド」「三田のサグラダ・ファミリア」と言われている、「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」です。先日、通りかかった時に、「解体現場?コンバージョン?資材置場?」と思って中を覗いたら、人がいたので驚きました。なんと設計者で施工者でもある岡啓輔さんでした。後で調べたら、すでにテレビ番組でも紹介されていたのですね。2005年に建て始めたということで、「水セメント比37%のコンクリートは200年もつと言われた」そうです。
施工は、ほぼ全て自分でやっているとのこと。そのユニークな外壁は、通常の建築の概念を越えて、もはや芸術です。
11月1日からは、「金沢21世紀美術館」で開催されている「ジャパンアーキテクツ 3.11以後の建築」にも等身大の写真が出展されているそうです(2015年5月10日まで)
建物は、地下1階、地上3階に屋上。竣工予定を伺ったら、三田のガウディは「2,3年後かな」とおっしゃっていました。完成が楽しみですね。