188-1 フィンランド

2015年11月9日 at 2:24 PM

写真は、このたび代々木八幡に竣工した集合住宅です。長い間お米屋さんを営んでこられた建て主は、バブル期に、商店街の他の店舗が次々と売却されたり、他の場所へ移転されたりする中、近隣の方たちの「他にはない美味しい精米」を求める声に応えてお店を続けてこられました。しかし、木造の住宅の老朽化も進み、このたびビルを建てられることにしました。設計者のリオタデザインの関本竜太氏は木造の住宅のテイストをRC造の建物の中にも存分に活かし、ご夫妻が暮らしていく新たな空間はとても心地よいものになりました。

今月号の「フロントライン」では、その関本氏が若い頃フィンランドを訪れたときの話を取り上げました。大きな決断を迫られるときに、どうしたらいいのか、これが未来にどんな結果を及ぼすのか、誰もが迷うところです。進路に悩んでいた関本氏は、一大決心でフィンランドに向かいます。そして、設計事務所に職を求めて直談判をしていきます。日本人はとかく周りを気にしすぎる傾向があるようです。空気をよく読めとか、きちんとしたシステムに乗らないとだめだとか、完璧な状態でないと何もできないと考えがちです。しかし、自分の進路は決めたら行動あるのみ、それが結果に繋がっていく。失敗も数多くあることでしょう。でも、学ぶことも多いはず。こちらがワクワクするようなお話を聞かせていただきました。

フィンランドという国は、北欧の遠い国ですが、アニメ「ムーミン」(トーヴェ・ヤンソン作)やシベリウス作曲の交響詩「フィンランディア」を生み、サウナ発祥の地、サンタクロースの国として、日本人にもなじみのある国です。携帯電話のノキアやLinuxなど、ハイテク産業の先進国であり、早くからインターネットが普及し、その通信速度は世界で最も速いとのこと。高福祉で、教育も最高水準。フィン人が93%、スェーデン人が6%。公用語はフィンランド語とスェーデン語で、英語も小学校のときから学ぶため、ほとんど全国民がトリリンガルということです。航空便での所要時間はおよそ9時間半で、「日本から一番近いヨーロッパ」として定期直行便が開設されています。6カ月の間に90日以内の滞在であれば査証や在留許可、就労許可は不要です。歴史的にもヨーロッパの中では親日派と言われ、1度は訪れてみたい国の一つです。

そのフィンランドでも2015年4月には失業率9.4%と、景気は良くないようです。もちろんヨーロッパ全体で難民問題もあり、ほとんどの国が大変な状況になっています。ただフィンランドのような教育水準も高い国では、就業率だけを見るよりも、働き方そのものをお手本にした方がよさそうです。制度の調整は各々あるでしょうが、女性の社会進出が進んでいたり、就業ではなく起業を目指す若者が増えていたり、と個人を大切にしながら働き方、生き方を選んでいるように思われます。四方をいろんな国に囲まれて培われてきた底力が見えます。関本氏のように己を再認識する鏡としてみたいですね。