193-1 子育て

2016年4月8日 at 4:32 PM

上大崎の住宅 撮影:吉田誠

写真は、このたび品川区に竣工した3世代住宅です。内装には、身体に優しい素材を使い、外壁の化粧型枠の打ち放しコンクリートと、前面の赤さび色の塗装のキャンティレバー、あふれ出る植栽の緑が、大胆な対比を見せています。建て主は、これまでもいくつか自邸を建てられていて、豊富な知識で素材の選定にあたられていたとのことです。

政府は、少子化対策として3世代同居を推進する施策を平成27年度補正予算に盛り込みました。木造住宅を対象にしたこれまでの長期優良住宅等の整備促進の支援に加え、キッチン、浴室、トイレ、玄関の内、いずれか2つ以上を住宅内に複数箇所設置する住宅に対して、1戸当たり30万円を限度に加算するという補助金制度を設置、28年度の予算案では、新築だけでなく、改修支援にも広げたとのことで、税制上の軽減措置も一定期間、運用するとのことです。ちなみにこれは、木造の優良住宅対象なので、RC造等は対象になりません。

1月の厚生労働省の人口動態統計の発表では、全国で生まれた赤ちゃんは統計を始めて以来最低だった昨年を4000人上回り、5年ぶりに増加に転じて約100万8000人でした。しかし、3月「保育園落ちた、日本○○」というSNSの投稿で火が付いた子育て世代の不満は、保育園の充実、保育士の待遇改善など問題が山積みだと改めて感じさせられました。生まれたばかりの子供を、じっくり自宅で育てたいのは、誰もが思うことでしょう。でも将来は不安がいっぱいの環境だからこそ、仕事に早期復帰しなくてはならないという若い女性の状況がみえます。
内閣府の「少子化問題について」というレポート(平成26年2月)を参照すると、主要国とのデータには興味深い数字が見えます。フランス、スウェーデンでは女性の高労働力率と出生率の同時回復を達成しています。
(『主要国の出生率と女性の労働力率の関係』1970年~2010年)

(主要国の国際比較のデータ:資料出所は厚生労働省の人口動態統計など)

特に、日本では結婚と出産が密接に結びついていますが、フランスやスウェーデンでは、第1子が婚外子である割合が50%を越えており、シングルマザーが子供を生み、育てていることがわかります。婚外子でも構わないという女性を支える制度がフランスやスウェーデン並にあれば、少し状況は変わるかもしれません。また、若い人が結婚・出産に二の足を踏む最大の理由、経済的負担が大きいという条件をまず解消することが必要です。即効性があるのは、直接的な予算を充てることです。確かに3世代同居で得られる人間関係の豊かさは、特にアジアで大切にされてきた文化ですが、同居を望まない若い世代もたくさんいます。一律、同じ条件で支援をしていくことの方が効果は出そうです。1年間一人100万円の育児補助があれば出産に踏み切れる人がもっといるのではないでしょうか。6歳までは医療費が無料ということであれば、安心して子育てができます。

現在、子育て関連への予算配分は、日本は対GNP比1%以下、他の欧米諸国は3%前後となっています。例外はアメリカの0.7%(2008年)です。自己責任の国は、児童手当も育児休業も国全体で定める制度はありません。健康保険もないし、比較の対象になりません。ある意味、弱者には厳しい国ですね。子育てしやすい社会こそ、民度が高い文化国家といえるのではないでしょうか。