227-2 社会福祉法人児玉新生会 児玉経堂病院
2期にわたる工期で完成した医療療養病院
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①東側正面入口。前面道路をセットバックし、植栽を施している。2方向入口の片側には車椅子利用者のためのスロープを設けている
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②西側全景。こちらの面にも緑化を施し、街路を整備
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③1階受付
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④3階病室
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⑤1階機能訓練室
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⑥3階病室前のナースステーション。広くなった通路の外側に病室が並ぶ
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⑦デッキが敷かれた中庭。中央にコンクリートの植栽ベンチを設けている。ベンチの座面に使われている洗い出しの仕上げは以前の建物のレガシー
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⑧屋上。西側には、富士山が臨める。植栽スペースをかなり設けて、地被類を植えている。以前の病院でも、中庭で園芸を楽しんでいたスタッフたちの憩の場所となる
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⑨東側夕景。前面道路は小田急線経堂駅駅ビルの「経堂コルティ」北口まで80m。北側のすずらん通りとを結ぶため、地域住民が頻繁に利用する
設計依頼があったのが2015年1月。各方面との調整を経て、6月に東京都の補助金を受けるための協議を開始し基本計画をもとに7月補助金申請、9月に認可を受けて実施設計へ。さらには2016年度内着工ということで設計にはかなりのスピードが求められた。施工者は要項に則り、入札を行い、辰に決まった。病院を運営しながら、1期、2期と分けての施工では、関係者、入院患者に細かい配慮が必要となった。
既存の建物には中庭があり、そのイメージを活かすとともに、経堂は道が狭く前面道路を広げることで街づくりに貢献することを考慮した。
建物自体はオーソドックスな形で、病室の広さや一部屋当たりの人数、廊下幅などを現行の医療法、関係基準を踏まえ計画している。またそれに伴い、バリアフリー法「高齢者、―障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号)の容積緩和も活用している。その結果以前よりもゆとりのある計画となっている。
当面病棟は109床で運営されるが、120床までの増床を可能にしている。ファサードは1階に配置した、診療室や受付、2、3階の病室などの必要なスペースを確保しながら、1階の外壁、2,3階の病室の境界壁を奥に引っ込めることで、面積調整を図りつつ凹凸感を持たせ、すっきりしたデザインに収めている。
高齢者の施設として、特別な装飾や大きな吹き抜けなどの無駄な空間を作ることは好ましくないと思っている。当初の設計案で、ほぼ竣工まで進められ、建て主にもご満足いただけたのが何よりである。
(HOU一級建築士事務所)
所在地:世田谷区
構造:RC造
規模:地上3階
用途:病院
設計・監理:HOU一級建築士事務所
施工担当:Ⅰ期:綿貫、青山、斉藤
Ⅱ期:綿貫、大平
竣工:2018年11月
撮影:アック東京