239-2 ESCENARIO OMOTESANDO(エスセナーリオ 表参道)
人気の神宮前に街に開かれた
スマートラグジュアリーなマンションが誕生
夕景に浮かぶ建物中央のルーバーからの光。ルーバーの内側は、実は半戸外に設けられた階段。建物内部に風と光を心地よく送り込んでいる。
商業地域と閑静な住宅街が混在する神宮前というエリアを踏まえ、店舗と集合賃貸住戸7戸をシンプルな打ち放しコンクリートで構成したマンションである。
モデリアとの神宮前でのプロジェクトとしてはこれで3棟目となる。ちょうど今回の建物の前の通りを西側に数ブロック進んだところに前回のプロジェクトである集合住宅が建ち上がったのだが、敷地が接する私道を「ALLEY」と名付けて、建物に取り込みながら1つの界隈を作ることができた。
今回は、より店舗の多い通りに近い分、商業のポテンシャルが高いので、1階は店舗としている。地下1階の住居はSOHO可能に、2-3階の住戸もそれぞれ個別のプランをつくり、より街に開いた形を意識している。特に開口部の前に縁側のような中間的なスペースを設け、天井の高さを変えたり、床の仕様を変えたりしている。
構造的にも、梁を設けた外側が壁の外部となり、「縁側」の天井にダウンライトを等間隔に入れて、外部のように見える仕掛けを施している。
1階の店舗も、より地域に開いた形の、以前中目黒で行った集合住宅のようにカフェやバーなど誰でも立ち寄れる店を想定していた。が、経済的ポテンシャルが高く、カットハウスとジュエリーの店が入ったのは、自分が出入りできる機会が少なくなってちょっと残念。
設計者は、自分の設計した建物の行く末はずっと見届けたいものなのである
(木下道郎氏 談)
【ESCENARIO OMOTESANDO】
所在地:渋谷区神宮前3-5-9
構造:RC造
規模:地下1階、地上3階
用途:店舗2戸・共同住宅7戸
設計・監理:木下道郎/ワークショップ
事業主:秀光建設
企画:㈱モデリア
施工担当:奥村
竣工:2019年8月
撮影:バウハウスネオ