251-2 Sunny Letter 弥生

打ち放しコンクリートの重厚感あふれる3世代住宅

敷地は文京区弥生の閑静な住宅街にあり、高台から傾斜した小さな道に面している。以前、同じ弥生の高台に16世帯の共同住宅を設計して以来、約20年にわたって交流が続いているオーナーの、今度は御子息が建て主としてつくる、3世代同居賃貸併用住宅の設計を担当させていただくこととなった。

21年前「異人坂館」と名づけられたその建物は、コンクリート打放しの建物をこよなく愛するオーナーの希望で、型枠脱型そのままの荒々しさと経年による風格が感じられるよう、あえて黒光りするレトロな風合いの仕上りとした。
今回、建て主は御子息に代わったが、コンクリート建築が好きなお父様の希望を尊重され、外観は当時と同じ打放しコンクリートの重厚な趣を活かすことになった。

敷地を最大限有効活用すべしという事業家的な側面では親子共にブレはない。
日影規制をギリギリ躱し(かわし)、各種法的緩和を徹底的に活用した結果、容積率をフルに消化した地下1階、地上5階という周囲と比べてひときわ高い建物が実現した。

この建物には3-5階に子(建て主)世帯、1-3階に親世帯と計3世代が暮らしている。玄関も異なる独立した両住宅だが、3階に設けた1つの扉で繋がっている。お互いが適度な距離感を保ち、独立した生活を営みながら、親世帯にとっては時折扉から訪れるお孫さんの賑やかな声に、同居する楽しみも見出すことができる。
地下と1階の計3戸の賃貸住戸が収益に貢献しているが、遠い将来には1-3階の親世帯も賃貸にリニューアルできるよう、予め計画されている。

子世帯の設計には奥様のご希望を極力取り入れるよう心掛けた。キッチンからお子様の様子が見える開放的な吹抜け空間、汚れにくく掃除しやすい仕上材、埃溜りができにくい納まりなどもその一つである。内装は明るい白を基調としたペイントに、木質の床・天井・家具を合わせ、落ち着きある空間を目指した。

なお、お父様の書斎は大学の後輩でもある岡村裕次氏が担当した。本に囲まれて暮らしたいという本好きのお父様の希望に応え、見事な空間を考えてくれた。建築関係者を労い、折につけ一献傾ける会を続けて下さるお父様の信頼を得た仲間の一人でもある。
「次はどんな建物を建てようか」建築話に花を咲かせながら、我々の夢がまた広がるのである。

 

(計良篤美氏  談)

 

構造:RC造
規模:地下1階、地上5階
用途:共同住宅(賃貸併用住宅)
設計・監理:計良篤美/リバックス建築環境計画
施工担当:佐々木・岡本
竣工:2020年10月
撮影:アック東京

2021年2月14日 at 10:27 AM