113-2 自由が丘ユングフラウビル アップル矯正歯科
リビングのような親近感あふれる歯科医院
-
-
⑨メインの診察台から、吹き抜けを見上げる。乳白色の窓の光が室内全体を明るく包む
-
⑧3階診療室。医師はパソコンを、患者のデータ管理だけでなく、カメラを付けて4階受付スタッフとの連絡にも利用している
-
⑦3階エレベーターホール。4枚の木製壁面は、年輪の模様を合わせた特製
-
⑥エントランス。2階へのアクセスは階段で、3,4階へはセキュリティの行き届いたエレベーターを利用する
-
⑤4階受付に隣接する洗口コーナー。治療を終えた自分の顔をゆっくり確認できる
-
④3階の個室診療室
-
③3階診療台。吹き抜けのため、全体が明るい。4階からは患者の顔は見えない
-
②黒い床石と打ち放しコンクリート、白い壁のコントラストが映える
-
①全景。ガラスファサードが生きるテナントの入居が待たれる
歯医者での治療は、長いスパンの中で行われ、ひとたび治療が中断すると、足が遠のくことになりがちだ。そのため、住宅のようなスケール感を持たせ、リビングのような待合室で、患者の不安や居心地の悪さを払拭したいと思った。
通常、医院・診療所というと1フロアである。しかし、今回は2フロアという与条件を活かし、最上階でもあり、十分な採光を取り込めることから、吹き抜けを設けることにした。乳白色の光が一日中診察室全体をやさしく包み込む―それは、歯医者というと、圧迫感のある無機質な天井を見つめるしかなかった自身の思い出にも起因する。リビングのようなロビー、シンプルでありながら親近感を持たせる診察室は、白を基調とした明るい空間とし、医師やスタッフのスムーズな導線にも配慮している。
テンキーを使ったエレベータは、暗証番号を知らない人は利用できない。ある意味で利用客の差別化を行いセキュリティにも配慮している。
透明なファサードでおしゃれな街、自由が丘を意識した。ハイセンスなテナントが、道行く人に、その存在をアピールすることを願っている。
田井勝馬/田井勝馬建築設計工房 施工的には、前面道路の交通量が比較的多く、近隣の商業施設、住宅の工事への理解もなかなか難しいものがあった。内部の吹き抜けのガラスの搬入がなんといっても大変だった。建物前面の外壁ガラスを一部はずしておいて、後から入れる手法を取った現場のM主任に感謝したい。
柏原創/田井勝馬建築設計工房
構造:RC造
規模:地上4階
用途:店舗
設計:田井勝馬建築設計工房
施工担当:間瀬
竣工:2009年7月
撮影:編集部