39-2 二軒家アパートメント

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

RC 造5階建ての建物は11戸のうち10戸が13坪前後の賃貸住宅です。 全体は、バルコニーが付いているA棟、バルコニーがないB棟、別の 入口より階段からアクセスするC棟と、3つのユニットからなっていま す。それぞれデッキテラスやバルコニーなどを経由して中に入る と、そこに玄関はなく、いきなり白いタイルの領域。それは昔の日本 でいえば、「濡れ縁」(雨戸の外に張り出した縁側)のようなあいまい な領域です。そこに、キッチンや、バスルームなど水廻りの施設を配 し、奥のフローリング部分とガラスの引戸で仕切ることにより、狭い 空間を広く見せています。

このあいまいな領域をどのように利用するかは、住まう人 の気分次第。バスルームもキッチンも透明だと広く感じる一方、同 居人の視線を遮れないので心理的に不安かもしれません。でもあ えて、賃貸で個人、あるいはカップルで住むのなら、この機能にわ ざわざスペースを広く取る必要はないでしょう。外部からの視線に 対しては、黒に近い暗褐色の木製ルーバーを目隠しにしました。タ イルを白にしたのも成功したと思います。テラコッタだと違った感じ だったでしょうが、新しい居住者がどのように使うのか、自分の実験 に付き合っていただく感じで楽しみです。「二軒家アパートメント」という名前にも、こだわりました。都心は今、どんどん住居表示が変わっています。二 軒家とは、昔この周辺に、地主さんが二軒しかなかったという名残 だそうです。今でも町内会の名前として、その名が残されています。
日本人は、元来生活空間の使 い方がうまいはずです。自然と うまく付き合って、風通しの良い 空間に住んでいました。それ が、都市化、近代化の波をうけ て、否応なしに西洋化させら れ、妙にセキュリティを意識し た空間ばかりになってしまっ た。でも欧米人は靴をはいて室内に入るけれど、その点は受け入 れられていないでしょう。ダイニング、リビングなどの機能的な空間 を増やすばかりだったけれど、追随するばかりではないですね。 日本のアパートメントと西洋のアパートメントはそもそも広さが違い ます。空間の知恵を取り戻す工夫を、建築家側から手助けしてい きたいですね。

木下道郎氏 談

場所:渋谷区
構造:RC造、地上5階
用途:共同住宅
設計:木下道郎/ワークショップ
構造:構造計画プラスワン
竣工:2003年5月
撮影:斎部功(木下氏は編集部)

2003年6月10日 at 3:26 PM