31-2 インテリジェントウエイブ函館支社

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

 

「株式会社インテリジェントウェイブ」の函館支社が、このたび弊社の企画、設計、監理で完成しました。同社はカード決裁システムの分野をリードする、ソフトウェア開発のトップ企業です。新社屋は、開発・研究拠点と位置付けられ、公立はこだて未来大学卒業生の雇用や同大との研究提携でも大きな期待を集めています。

建物は鉄筋コンクリート造、地上2階建て、延床面積約1170㎡です。
建設にあたって、同社の安達社長は、大手ゼネコンの出先に頼むより、地元の健全な施工店の方が安心であり、同社としてもむしろメリットがあると考えられました。東京の施工会社である弊社が参画したのは、同じような地域の建築屋として東京・渋谷で仕事をしている観点から、地元企業の選出に助言を求められたという背景があります。また、実際の設計にあたっては、

1.函館の気候風土
2.建物周辺の環境
3.建物内で作業する人たちの健康と活力
などに配慮する積極的な提案が求められました。

弊社では、従来より、人間にとって快適な環境を提供する「ESNA」(Ecological Space of Natural Amenity)という考えに基づいた建物づくり提唱しています。それらを元に、「インテリジェントウェイブ」のめざす建物のコンセプトをつくり、それを現地の会社に伝えるコミュニケーションの力もまた必要でした。
この建物は、「植物が元気に生きられる環境こそ人間にとっても良い環境」という当たり前の話を実現するため、室内に3つの花壇、7つのプラントボックスを作りました。特にここに植えたベンジャミンは5.5mの高さで、現地の関係者は建物の中に植物が入るイメージをなかなか受け入れられなかったそうです。そこで、弊社では、輻射温熱装置のピーエス株式会社の研究センター・IDIC(イディック:岩手県盛岡市)の見学会ツァーを企画し、施主、工務店、下請けの皆様を招待しました。「百聞は一見にしかず」ということで、センターの建物内の樹木や花壇を紹介し、納得していただきました。
一方、竣工後、これらのプラントボックスの植物の手入れが大変なのではないかという心配をする向きもありました。しかし、簡易な自動潅水装置も導入し、業務に支障のないように最低限度は管理できるようにしてあります。むしろ弊社は、植物の気配を意識し、変化を楽しむ心が人間には必要なのではないかと提唱しました。コンピュータと向き合って1日を過ごす現代人には、生物としての感覚を失わないようにすることが実は重要課題になっているのではないでしょうか。

建物の外側も見ていきましょう。周囲にたくさんの木を植え、森の中の仕事場をイメージしています。コンクリート打ち放しの外観ですが、メインルームの外壁部分にはヒバ材とアルミの外断熱を採用しています。その内側では、低温で常時運転するピーエスのHRヒータを各コーナーに設置し、建物の躯体そのものを暖めてランニングコストの節約を図ります。また将来的に増床できるように、2階にスラブの梁をかけ、吹き抜けの高い天井を確保しています。天井には、サンヨーのソーライトを設置し、プラントボックスに太陽光をあてています。その天井にはMKボードを貼って、防湿、防音効果を高めています。(呼吸・調湿作用のある木と、微細な気泡をもち、断熱・吸音の機能を発揮する細多孔質セラミック粉末をセメントで固めたボード。美術館などにも採用されている。) 全体は大きな1つの空間ですが、仕切りに兼用されているピーエスのヒータや珪藻土のアーチ壁の色使いが明るく、寒々しい雰囲気を与えません。

「ウェイブ函館」はまさにESNAのコンセプトを実現したものとなりました。設計を担当されたアトリエ・オヴニー様、函館のウォータースタジオ様、施工会社の高木組様、電気、設備、造園会社の皆様、そしてピーエスの皆様、ご協力にあらためてお礼申し上げます。

(データシート作成:松村拓也)

所在地:北海道函館市
構造:RC造
規模:地上2階
用途:事務所
設計・管理:辰+ウォータースタジオ(函館)
竣工:2002年9月

2002年9月13日 at 1:54 PM