16-2 吉祥寺の家_改修工事

用途: 竣工年月: 場所: 構造: 規模:

 

築20年以上のコンクリートの住宅を改修しました。吉祥寺から徒歩20分ほどの閑静な住宅街。もともとお施主様のご両親のお宅でしたが、改装し、このたびお施主様のO様、奥様、小学生のお子様2人が暮らすことになりました。
最初の設計は、日大の三橋満先生。Oさんの恩師でもあり、ガラスブロックの利用では、右に出るものはいないといわれた方です。
研究室にいらしたO様はこの設計の前年、先生とフランス旅行をされましたが、「メゾン・ドゥ・ヴェール」(ピエール・シャロウ)という1930年代のガラスブロックで有名な建築も訪れ、その影響があったと思うと話してくださいました。『自然を感じられる住い』というコンセプトがいたるところに生かされています。吹抜けのリビング、ガラスブロック、大きな窓と採光の行き届いた空間が心地よく、外部に設けられたゲストルームのトイレは、わざわざトイレのために外に出ることで天候を感じられるようにというもので、昔の日本家屋にあった感覚を味わうためというたくらみが奇抜でした。

今回は、営業を担当した弊社工事部、窪田幸夫に実際の工事の詳細についてレポートを依頼しました。

「実は私だけは4年ほど前に一度お宅をおたずねした事があります。
今回は全面改修のため、全てのスペースを図面と照らし合わせ見せていただきました。
20年前に建てられた、この雄大な大空間、和室の趣き、ゲストルームへの外部渡り廊下、そして外部に設置されたゲスト専用トイレ、どれひとつをとっても年月を感じさせません。
私自身、現在様々な建物を注文頂き施工しており、また一般の建物よりかなり自由な設計の住宅、商業店舗ビルなど、時代の先端的デザインの仕事を施工させていただいていますが、O邸はまさにそんな現在のデザインが吹っ飛ぶような空間力を持った建物でした。
RC造の典型的ラーメン構造で、基本は直線でデザインされ、外壁は全て打ち放し、内部パブリック部分も打ち放しで構成されております。今回内外とも打ち放し部分は一切手をかけておりません。
外部に関しては開口部を中心に改修を行い、既存はスチール建具に木製雨戸取付け木部を強調しておりましたが、改修ではサッシはステンレスで、それを目立たないよう外部に3mm厚のフッ素塗装アルミカットパネルでカバーする工事を行ないました。内部、特にキッチンなどは以前より使いやすく、現実に即した形に改修しました。

改修が完成した内外を見ると、外部のコンクリートの経年した部分と新しく改修したアルミカットパネル、庭に新たに設けた石張りのテラス、そしてその部分を人通りよりやさしく目隠しする打ち放し壁との建物全体のコントラストが非常に良好に納まったと感じます。
内部は天井高5mを超える吹き抜け部分をさらに強調すベくサッシ・鉄骨階段・空中に架かる渡り廊下の構造部を既存の黒塗りより白に塗り替えています。この建物を見ていると、鉄骨造・アルミとガラスが協調し、床・壁・天井とも真っ白に配色された、現在先端を行く建物が、20年後の私たちにどのよう映るか、大変興味があリます。

今回調査にお伺いした時、お母様と少しお話をする時間がありました。大部分の床に採用した床暖房、大きく重い木製雨戸、それらがだんだん壊れていき大変な思いをした20年だったそうです。しかしその話を伺いながら、大多数の人が望んでもとても住むことが出来ないような建物を、20年間住みこなした事への自信が感じられました。

年月を経た建物のかもし出す温かみ、そしてコンクリート造の底から湧いてくる力強さを実感しつつ、新築設計時より参画し、今回もまた改修設計をされた施主O氏の改修に向けての確固たるコンセプトが表現された図面に基づき、現場打ち合わせを重ねたことには非常に感慨深いものがあります。基本設計と施工の確かさがベースとなり、工事の成功につながりました。」(窪田)

今回、デザインのすばらしさと施工の確かさで、コンクリート住宅は世代を経て受け継がれていくものだと実感しました。環境に配慮した建物づくりを求められている現在、100年を経ても生き続ける良質なコンクリート住宅をつくろうとしている私たちにとって、この仕事は大きな自信と励みになりました。

(編集部まとめ)

 

改修:2001年7月
構造:RC造
規模:地下1階、地上2階
用途:専用住宅
原設計:三橋満

 

2001年7月12日 at 3:50 PM