189-2 恵比寿Nビル

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

線路際のオフィスビル

 

 敷地は、恵比寿駅から徒歩5分、JR山手線の線路際に位置する。前面の線路敷と、その両側の道路を合わせると50mほどが前面道路の幅となる。ここは高度地区の高さ制限30mもかかっていて、その結果斜線制限により外観に影響を受けない特別な場所になっている。線路敷という「第二の自然」、渋谷駅方面まで見渡すことのできる線路上方に広がる空間を最大限取り込んだオフィスを目指した。キャンティレバーで張り出した上部の足元には、線路を走る電車からの視線を受け止めるファサードが立ち上がった。キャンティ部を支えるように立つ黄色い鉄骨柱がアクセントを加えている。
 オフィスはエントランスを擁する1階、バルコニーのある2,3階、上部に張り出した4階から7階、と3タイプのオフィスで構成されている。2011年の着工直前、東日本大震災があり、ストップ。2014年にリスタートした。どこにでもある既製品のアスロック横使いの外装とした。ただし寸法には工夫を施し、アスロックの幅は、通常の600㎜ではなく階高3300㎜を6等分した550mmとしている。手摺高さは550*2 、扉高さは550*4、開口高さもそのモデュールに合わせている。天井高は、この規模のオフィスビルとしては高さのある2650mmとした。3300㎜から2650㎜を引くと、残りが650mm。その中で、フリーアクセスとRCスラブと小梁、設備機器を納めた。
 温熱環境では、2階以上のオフィスの空調された空気を各階のEVホールに導き、そこからロスナイ(熱交換形換気機器)に送ることで、EVホールまわりは外部と空調された環境の中間環境になっている。冷暖房設備を設置しないで、省エネ、節電効果を上げている。またPS(パイプスペース)等はすべてホール側に配置し、メンテナンスを容易にしている。
建物後方の屋外鉄骨階段には連結送水管を、目立たないように主柱の内側に抱き込む形で収めている。それら空調衛生設備、電気設備は何気なく納まっているが、建築、機械、電気など施工サイドの、施工図をきちっと描いて納めようという意志と努力の結果だと思う。
全面開放にした開口部からは毎日電車の動きが良く見え、ゆるやかなカーブが続く渋谷駅方面まで遠く見渡せる。鉄道ファンなら、仕事の合間にほっとひと息つきながら眺める景色は、また格別だろう。
(上西明氏 談)
所在地:渋谷区
構造:S造
規模:地上7階
用途:事務所
設計・監理:上西明/上西建築都市設計事務所
構造:花輪建築構造設計事務所
設備:総合設備計画
施工担当:池山
竣工:2015年9月
撮影:小川重雄
2015年12月18日 at 2:41 PM