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200-1 おかげさまで創刊200号をむかえました

2001

弊社は、1999年10 月、倒産した前身会社の志をあえて引き継ぎ、この渋谷のまちで創業しました。
建築は、すべて現場での一品生産なので、施工者は「その誕生を見届けた証人の責任」を担います。
だから私たちは、たとえ会社が潰れようとも、建築屋としてやり続けようと考えました。
しかし、前身会社のやり残した「仕掛かり工事」や、破産処理に関する対応は待ったなしです。創業当初の半年は、新規受注に専念できず、希望と苦悩の板挟みのような状況が続きました。
特に、仕掛かり工事に取り組んでいると、旧来のお客様からの苦情にも対応しなければなりません。
でもやがて、お褒めの評価とお叱りの批判の双方を、身に受けることで成長する自分に気付きました。仕掛かり現場のチャレンジが終わるころには、新しい会社の息吹を感じるようになりました。
こうして迎えた 2000 年の4月より、心機一転、ニュースレター「SHINCLUB」の発行を開始しました。お客様や設計事務所などの取引先にお送りするほか、今では各工事現場にて掲示配布もさせていただいております。弊社を取り巻く話題や、関わりのある皆様の取組を、A3 サイズ1枚まとめたささやかなリポートです。しかし、継続して発信することで常に自らの姿勢を正し、わが身を鼓舞することとなりました。

日本は今、大きな価値の転換点に立っていると感じております。渋谷を拠点に施工に特化して、設計事務所様はじめ、多くの建築を愛する方々との協働作業により、弊社が少しでも社会の発展に寄与することができればと、これからも日々の仕事を紹介してまいります。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

           平成 28年11 月

 

株式会社辰 代表取締役社長

森 村 和 男

                              編集担当

松 村 典 子

200-2 記念インタビュー  北山恒/architecture WORKSHOP

 

「建築家は、辰のような会社を大事にした方がいい」

 今月は、創刊200号を記念して、創業当初から設計物件の施工を多数ご依頼いただいている、建築家の北山恒氏に、巻頭インタビューでお話を伺いました。

―北山先生の設計による表参道の「Omni Quarter」はじめ、前身会社で請けたいくつかの仕掛かり工事を、新しい契約で完成させることができたのが、弊社の新たなスタートでした。

北山:経済の厳しい側面を経験されて、大変だったことだと思いますが、前身会社は、新しい社会の動きに敏感で、何か仕掛けていくことに前向きでした。今も、その遺伝子は残っていると感じますね。

 最近ある建設会社が倒産した時にも感じたのですが、建築家はわがままな人が多くて、施工に無理難題言って冒険するけれど、いざトラブルになると責任取らない人が結構います。でも辰のような工事をやってくれる施工会社を、建築家は大事にしなきゃいけないと思いますね。赤字出すような仕事をしてもらっては困る。「請負」という言葉がありますが、こだわりの建築に応えようとする辰の場合は、自分のアイディアをリアライズするパートナーだと思ってやってほしい。
今、気になっているのは人々の生活の仕方がどんどん変わってきているということ。しかも働き方、ライフスタイルが変わってきているのに、それを受け止めるハードウェアがない。
これからの建築は金儲けだけではなく、人々の生活を支えるプラットフォームでなくてはならない。大きな利益を生むものではなく、地道にやっていくことが求められる時代になったと思います。
―辰が施工させていただいた物件では、どれが思い出されますか。この17年で10件以上になりますが・・・。
北山:印象深いのは、「集合住宅20K(Vague;二十騎町の集合住宅)」ですね。ある程度の広さを確保して、いろんな要素を再編成させることができました。
―新しい構造にもチャレンジされて、後に建築学会賞を受賞された「洗足の連結住棟」につながるものだと述べられていましたね。
北山:「20K」くらいの規模があって、寛容な建物、つまり所有権でなく使用権を互いに持ち、そのコストを下げて皆で豊かな暮らしをシェアできるものはないか、そういうものを考えています。会員制でユニットを共有しながら住んでもいいし、運用してもいい。賃貸マンションも、今までのようにただ同じようなワンルームに住むのでなく、人々がプライドをもって住んで、仕事をしていける建物を作りたい。建物だけでは解決できるわけではありませんが、大きくなくても社会のプラットフォームになる、新しい建築が必要だと思いますね。
そしてそのとき、ジョイントできる辰のような会社の仕事がそこにあると思います。
施主というのは何かをしようとしている人なのだから、そういう方たちとのネットワークを大事にしていっていただきたい。やりすぎるとよくないですが、そんな生活をサポートする街づくりを一緒に仕掛けていってほしいですね。
―昨日「資本主義の終焉」というテレビ番組を見たのですが、ほんとに社会が変容しているのに、国の施策が追いついていない気がします。
北山:2007年のリーマンショックで世界の経済市場が大きく変わり、2011年、東日本大震災で、日本の建築家の意識はほんとに変わった。エネルギー問題も変わらなくてはならない。2年前に出た水野和夫さんの『資本主義の終焉と歴史の危機』は、建築家の間でも結構、話題になっていますが、これからは「定常型社会」、つまり、経済は成長しないことを前提にした枠組みの中で、生活を豊かにしていくことを考えなくてはならないのです。建築にも新たなマーケットが出てくると僕は思います。
20年前、デザイナーズマンションの仕組みを考えたとき、あの中にはいろいろなボキャブラリーが入っていた。メゾネット、ロフト付のユニット、コンクリートのキッチンカウンター・・・・、土地価格が高騰したので、相続税を払わないで固定資産を維持する方法や技術を考えていきました。そして、さらに、個人のこだわりを活かしたコーポラティブ住宅が生まれてきた。そんな風に、ビジネスも建築も変化しています。これからも辰さんと一緒にやっていきたいと感じています。
―こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

北山恒
1950年生まれ
横浜国立大学大学院修士課程修了
1978年 ワークショップ設立(共同主宰)
1995年 architecture WORKSHOP設立主宰
横浜国立大学大学院Y-GSA教授を経て
2016年法政大学教授
■代表作「洗足の連結住棟」「祐天寺の連結住棟」など
■受賞歴 日本建築学会作品賞、日本建築学会作品選奨、日本建築家協会賞など。
■主な著書  「TOKYO METABOLIZING」(TOTO出版)、「in-between」(ADP)、「都市のエージェントはだれなのか」(TOTO出版)など

200-3 業平3丁目プロジェクト(浜田製作所)

建築金物の可能性を追求した工場併用住宅

 スカイツリーのお膝元で、3代にわたって建築金物の製作所を営む建て主の工場併用住宅である。向かって左側の建物の1階にある工場が手狭になったため、隣接して新たに耐震性のある建物を建てることとなった。当事務所が設計を担当し、建て主自らが制作された建築金物が随所に盛り込まれて、かっちりしたコンクリートの打ち放しの躯体と、そこにしかないオリジナル金物のコラボレーションが実現した。
中央の建物の1階が工場で、向かって右側が玄関である。大きな上部ガラス窓、手摺、庇、スチールの扉や把手、ステンレスのネームプレ―トなど、RC造打ち放しの外壁と調和する、力強さと繊細さを持つディテールある。上階への階段を上ると、2階はアイランドキッチンのリビングダイニング。前面道路に開かれた開口部に面する吹き抜けの上部を、コルク敷きの渡り廊下が3階へ向かう。3階は琉球風畳の和室で、打ち放しの壁、テラスに囲まれている。テラスから屋上へのコンクリートの外階段を上ると、スカイツリーが現れる。周囲をコンクリートベンチで囲んだプールのような屋上は、夏の花火を楽しむ絶景スポットになるだろう。

 (鈴木孝紀氏 談)

 昨年の9月より計画がスタートし、竣工まで1年足らずの慌ただしい工事であったが、設計の鈴木先生をはじめ辰の皆様、職人の皆様のご尽力により、無事竣工を迎えられたこと、深く感謝申し上げたい。
今回の建築では、工場併用住宅ということだけではなく、既存の建物との関係性などいくつかの条件のある中でそれをクリアし、想像以上の空間を提案して頂いた設計と、難しい躯体を見事に実現して頂いた施工の、すばらしい底力を感じている。
その中で、弊社も製作金物で参加し、鈴木先生のご指導のもと、普段よりも多少挑戦的なディテールの金物に仕上がり、少しは建築金物の可能性が示せたのではと感じている。

(浜田雅史/浜田製作所代表取締役)

構造:壁式RC造
規模:地上3階
用途:工場・専用住宅
設計・監理:鈴木孝紀/鈴木孝紀建築設計事務所
制作金物:浜田製作所
施工担当:間瀬
竣工:2016年8月
撮影:斎部功

 

200-4「『カルツェドニア新宿』2016年度グッドデザイン賞 受賞祝賀会」  

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10月28日、六本木のグランドハイヤットホテルで、2016年度グッドデザイン賞の受賞式が行われ、森村社長とともに行ってきました。
応募総数4085件のうち、受賞は約1000件。当日は表彰状の受け取りのほか、金賞、特別賞の発表と、「グッドデザイン大賞」の投票も行われました。
今年は、受賞展の開催場所と祝賀会の会場が異なり、あいにくの雨というお天気でしたが、光井純アンド アソシエーツ 建築設計事務所(以下、JMA) の設計担当と広報担当の方々とグランドハイヤットへ赴き、記念撮影を行いました。
祝賀会終了後、夕方、かけつけた辰工事部長の岩本も加わり、受賞展のおこなわれるミッドタウン内の会場へ移動。すると、会場では「カルツェドニア新宿」の展示パネルの隣に、やはり弊社で施工させていただいた「カスケード原宿(設計:UDS)」のパネルが並んでいました。施工させていただいたものが2点も受賞したということでうれしいサプライズでした。
カルツェドニア新宿ビル
https://www.g-mark.org/award/describe/44323?token=hQFT7ivPRk&locale=ja
カルツェドニア新宿ビル(プロジェクトについて)
http://www.jma.co.jp/jp/projects/calzedonia-shinjyuku/
 受賞理由は、「新宿という猥雑な街において,その猥雑さをある程度引き受けつつも,あくまでエレガントに美しくまとめており,質の高いデザインである」とのことでした。