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202-1 年頭のご挨拶

 

新年あけましておめでとうございます。

皆様におかれましては、お健やかに新たな都市をお迎えのこととお慶び申し上げます。
本紙もお蔭様で創業以来欠かすことなく発行し、昨年11月に200号を発行することができました。これも偏にお客様、特に建築家の先生方に様々な面で支えていただいた賜物と厚く御礼申し上げます。
日本は今、東京オリンピックを政府主導で高揚させられ、浮足だっております。
しかし、実態の景気は未だ好況を感じられません。それにもまして、世界のあちらこちらで問題が噴出し、一寸先は闇という状況が続いております。

このような環境ではありますが、弊社の親会社「ZENホールディング」の目標であります「世界で最後まで生き残る会社」を、弊社も当然目指してまいります。
この目標達成のために必要なことは、盤石な財務基盤の確立はもとより、全社員一人ひとりが毎日少しずつ額に汗して自己研鑽し、お客様に心から喜んでいただける仕事をしていく以外、道はないと確信いたします。

どうぞ本年も社員一同、熱く「こだわり建築」に挑戦して参りますので、引き続きご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。

 

 2017年元旦

 代表取締役社長 森 村 和 男

202-2 神宮前6丁目プロジェクト

撮影:斎部功

キャットストリートに向けて、思い切り踊ることのできる
祭りのやぐらのようなテナントビル

渋谷川の暗渠部分である裏原宿のキャットストリート。静かな住宅街であった20年前とはすっかり姿を変えて、両側には、若者のファッションの先端を行くブランドショップが軒を連ねる。デザインも様々な建築物が建ち並ぶ中、むしろ黒子に徹して、店の商品や展示物に思う存分自己主張してもらいたい。そんな気持ちで、祭りの『櫓(やぐら)』のような、シンプルな構造の建物を考えた。

暗渠より少し下がった側道から、再び70cmレベルを上げて、道行く人に目線を合わせ、柱は木造のサイズ150mm角に抑えて、ガラスファサードを通して、ほとんど建物を意識させずに内部の商品や広告を、通りから見えるようにした。

多くの鉄骨造の建物で耐震性の確保のために設けられる鉄骨ブレースは、デザインの上からも避けたいと考え、純ラーメン構造とした。サッシはスチールにして少し太く、柱と同じサイズにして、構造的に必要なものを全体に等価にしてまとめている。木々が並ぶ林のようである。一番太い鉄骨は、デンキに引き込みに建てた300mm角のH綱である。

商品が目立つためには、とにかく店舗の内装設計の自由度を上げる必要がある。物販で、3階以上の建物は、耐火構造が義務付けられているが、柱・梁の仕上げの厚みを抑えるため、今回は耐火塗料を採用し、通常より厚い数mmの厚さで施し、躯体そのものはかなり軽く仕上げることができた。
階高は約3m。コンクリートの厚さ150mm、梁背約285mmで、さらに内装が活かされるだろう。

(鈴木孝紀氏 談)

構造:S造
規模:地上3階
用途:店舗
設計監理:鈴木孝紀建築設計事務所
施工担当:鄭
竣工:2016年7月
撮影:斎部功

 

202-3 中野3丁目ハウス 

撮影:アック東京

和のテイストを取り込んだ、くつろぎの住宅

これまでデザイナーズマンションに暮らしていたオーナーが、戸建て住宅を建てられることになって、希望されたのは、「和風の生活」である。
中野駅に近く、前面道路も広くはないので、施工や環境を考えて木造を選択、外壁はサイディング、ウレタンフォームによる内断熱とし、1階に駐車スペースと水周りを配置した。
北側斜線に配慮してスキップフロアで家族全員の個室を確保し、2階のダイニング・キッチンに家族が集う畳の空間を用意した。

南側前面道路は幅4mだが、正面がちょうど路地状敷地の路地部分になっていて、向かい側の家と視線を合わせずに青い空を臨むことができる。開口部を高く取って採光を確保し、障子を閉じ、締め切っていても1日中ほんのり明るい陽射しが入るようにした。開口上部のスリットから、天井裏の換気が取れる計画としている。座卓はダイニングスペースに合わせて製作、全長4.5m。畳は琉球畳で、腰壁には細長い和紙(300x900)を重ね貼りにして、落ち着いた和の空間を生み出している。
正面の開口部には、大きさや形のバリエーションが豊富で、大きなフィクスタイプもあるビル用サッシを採用している。以前大船の集合住宅で採用したものを、オーナーも気に入っていただいていたためである。

家全体が温かく、ツインの洗面台、機能的なお風呂も快適で、オーナーからは「よく眠れる」との満足のお声をいただいている。

野口信彦氏、栢野麻希氏/タカギプランニングオフィス 設計室 談

構造:木造
規模:地上3階
用途:専用住宅
設計・監理:タカギプランニングオフィス設計室
施工担当:寺井
竣工:2016年11月
撮影:アック東京

202-4  「建物再訪」1.元代々木の家 「家は買うのではなくつくるもの」 


撮影:アック東京

辰が発足して18年目。これまで施工させていただいた建物は300近くになりました。新築物件の一つ一つに「嫁に出す気持ちで、お引渡ししてきた」という社長森村の言葉通り、建築は一品生産。その後も長いメンテナンスを通じて、お客様とお付き合いしてまいります。そんなお客様と建物そのものの価値について語り合いたい、という企画をスタートさせることにしました。建築家の先生方が、お客様の暮らし方や与えられた敷地の環境に応じて設計し、その建物を施工する建設会社が責任をもって維持管理に関わってこそ、良質な建物は年月を経て価値を生み出し、長く愛される景観として生き続けます。
一方、それらが適正な価格で売買される健全な市場が、まだまだ日本には育っていません。建物をきちんと評価いただく市場の発展のため、施工会社ができることをお伝えしてまいりたいと存じます。

第1回は、「元代々木の家」。1999年、前身会社で、ご自宅の施行ご依頼くださった大野様は、前身会社でが主力取引銀行の破たんにより倒れた後も、引き続き辰での施工を希望、契約の変更にも応じてくださいました。当時、新会社として新たなスタートを切る我々に力を与えてくれました。
その家も竣工後、16年が経ち、ご家族も増えたことから、新たな家を建てられることを決意され、その際、なるべく竣工当時の状態に近い形にメンテナンスしてから売却しようと、辰のリニューアル部にメンテナンスをご依頼いただきました。大野さまに お話を伺いました。

―17年前、前身会社が請けていた工事を新会社へご契約いただいたときのお気持ちはどういうものでしたか。
大野:そもそも新築時に設計の先生に依頼はしましたが、辰さんの施行はあこがれでした。建築が好きで、青山・神宮前周辺をよく見て歩いていましたが、「いい建物だな」と思うと、施工会社が辰さんということが多々あった。予想よりも高かったのですが、自分が見た現場で感じた施工センスから、辰さんにお願いしたいと思いました。破たんしたときも、作るということでの問題ではなかったのでから、僕は全然かまいませんでした。
―当時、17の仕掛り工事のお客様には、ご迷惑をおかけしましたが、契約を変更いただくなどして、完成にこぎつけました。
しかし、発足したばかりの「ShinClub」にすべての竣工情報を掲載する機会は逸してしまいました。この度リニューアル部がメンテナンスを請け負わせていただき、良い機会となりました。
大野:今回、建物を購入いただき、引き継いでくださることになったTさんは、まだ僕が居住中に内覧に見えたのですが、環境や建物だけでなく、僕の暮らし方に共感してくださった。物も増えて、片付いてもいなかったのですが、「こういう方に購入いただいて、引き継いでもらえるとうれしいなぁ」と思いました。
コンクリートは時間の経過によってメンテは必要ですが、そこで安易な方法によって景観が勝手に変わってしまうようなやり方はダメだと思いました。杉板型枠の打ち放しコンクリートのテクスチャーを白く塗りつぶしてしまうようなことは違うと思うのです。周辺に暮らしている人たちの環境を、見慣れた風景を大きく変えてしまう。コストが心配でしたが、予算から最大限の成果を得られるような逆提案をいただいて、「やっぱり相談してよかったな」と思いましたね。
「ShinClub」も同じです。会社が続くことと同じように、ずっと同じスタイルで続けていることに価値があると思います。

僕はよく子供に「家は買うものではなく、つくるものだよ」と言っています。これからも、子供には「家はつくるんだ」ということ、誰に頼むかが大事だということを伝えていきたいと思っています。

―本日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

元代々木の家
構造:RC造
規模:地上3階
用途:専用住宅
設計:正屋デザインシステマ
竣工:2000年3月