153-2 Modelia Brut YOYOGI UEHARA(富ヶ谷集合住宅)

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

 

 

 

圧倒的な開放感と極限までシンプルな設備に徹したスケルトンタイプの集合住宅

これまでも、長期間にわたって持続可能なスケルトン集合住宅の設計を手がけてきたが、今回は徹底したローコストプランに加え、さらに速度の速い住宅設備機器をできるだけ装備しないことで、無駄を最小限に抑え、多様化するライフスタイルにも適応しやすい空間を目指した。
中央の階段を囲んで構造壁を井桁状に配する空間構成により建物外周面がほとんど開放され、三面道路の敷地特性を最大限に活用して、四隅に配したすべての住戸に豊富な光と風がいきわたる。外に向けては、建物が街に圧迫感なく溶け込んでいくことだろう。
戸境はすべて構造壁なので遮音性能が高く、道路からのアプローチとなる1階の1戸を除いて、中央階段室を1/4階ずつステップアップしていく「16ターンフロア構造」を採用し、フロアの概念を越えて、それぞれの住戸の独立性、スペース感を高めている。

常日頃、設備については、不要なものは排除しておきたいと考えている。調理機器も空調機も照明器具も家具も、住まい手は研究もしているし、新しい情報を得ている。電気系統の仕様変更もサイクルが早くなっている。建物を提供する側も廉価なものを最低限設置しておくという意識を変えることが求められているだろう。さらに美術品などをセットすることでギャラリーとしても機能するようなシンプルな空間が、既存のマンションでは得られない、自分だけのライフスタイルにこだわる生活者のニーズに応えたものになる。
近くには「ルヴァン」というかなり気のきいたパン屋があり、施工中は、軽いランチを食べたり、おみやげに酵母入りの手作りパンを買い求めることが私の楽しみでもあった。新しく入居される方も、この街を充分に堪能いただければと思う。

   (木下道郎氏 談)

所在地:渋谷区
構造:RC造
規模:地上5階
用途:共同住宅
設計・木下道郎/ワークショップ
企画:コムラエージェンシー
事業主:中央土地
竣工:2012年9月
施工担当:鈴木
撮影:BAUHAUS NEO

企画・マネジメント会社様からのお言葉

Modelia Brut= モデリア ブリュットは、当社が数年前から新たに展開しているコンセプトレジデンスです。住居の原点を徹底的に見つめ直した都市生活者向けの集合住宅です。
省エネ、エコロジーが社会的に大きく求められていますが、設備を付加する商業的な『ECO』というものに一度疑問符を付け、あらためて建築のもつ力によって実現できる『ECO』とは何かを企画の中心に据えています。結果、設備機器は最小限に削ぎ落とされ、本当に必要と考える建築の要素のみで構成される建築になっていると思います。
2面以上大開口部から採光・通風を十分に室内へ取り込み、また設備バルコニーの設置により、管理のしやすさや設備の更新性を高めることを実現するなど、地形・周辺環境から平面・断面計画が明確に整合し、また構造、設備、そして意匠にいたるまで、全てが論理的に無駄なく成立しています。
建築家の木下様には相当な量のスタディを強いてしまいましたが、都市居住のプロトタイプとなるような建築が出来上がったと思います。このような難しい建築に真摯に取り組み完成していただいた施工の皆様にも感謝しています。

人口が密集する都市部において、良質な単身者向け集合住宅をつくることは重要な社会的課題です。今回のような小規模な敷地における集合住宅でも、本質を追求しようという企画の考え方や、設計デザインの創意工夫によって、魅力ある集合住宅ができるという事例になっていると思います。都心部に残るミニ遊休地を良質な社会的資産として活用していくことは、今後も大切なことだと改めて感じています。

  株式会社コムラエージェンシー 担当:唐澤伸作

2013年4月16日 at 10:02 PM