139-2 M 邸

撮影:阿野太一

三角形の敷地を活かした、癒しの都心型住宅

敷地は、閑静な住宅街の小さな交差点に面した、三角形の土地である。鋭角の先端部に位置する特殊な形だが、建て主は「何か変わったものが出来るのでは」と期待をかけられた。都心で仕事をして、夜遅く帰宅する建て主の家への希望は、まず「寝室」と「風呂」という、癒しのスペースを充実させることであった。プライバシーに配慮して、通りに面して開口部をそのまま大きく開くのではなく、テラスを設け、角度をつけることでなだらかに外部とつながる空間とした。

一方、先端部の 2 枚の壁の合わせ目は、少し間をあけて、3 階の浴室で入浴しながら都会の景色を楽しみたい、という建て主の要望に応えている。このように三角形の土地だが、中の暮らしは三角形を感じさせず、使い勝手がいいように、コーナーにテラスや収納を配置した。結果、外側と内側の印象がまったく違うデザインになっている。北側の吹き抜けの螺旋階段は、自然な温熱環境を生み出すもので、大きく縦に開口部をとって、建物の象徴的な流れが感じられ、周囲への圧迫感も軽減している。
建物の 1 階は、エントランスと事務的なスペース、ガレージで、2、3 階がプライベートスペースである。内部は、全体として基本的に外部同様打ち放しの壁とモルタルの床だが、建て主がアンティークやアジア系の暖かみのある家具を好まれるので、それらが対比して活きる素材をと考えた。 3 階は寝室となるため、フローリングで、若干柔らかい雰囲気にしている。
視線、採光、空気の流れなど、行き止まりのない、「抜け」感を大事にしたプランを建て主も気に入っていただけたようだ。植栽の置かれたテラスや、お風呂場は、くつろぎのスペースとして、さらに機能していくことだろう。

 

( 梅村典孝氏、枝松玲子氏 談 )

所在地:渋谷区
構造:RC造
規模:地上3階
用途:専用住宅
設計:梅村典孝/GRAMME、
枝松玲子/twigdesign
竣工:2011 年4月
施工担当:佐須、池上
撮影:阿野太一

 

2013年4月2日 at 4:00 PM