72-2 blocco

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

多様性を持つ集合住宅

2004 TPOレコメの受賞作品。コンペの時は「スローライフ」がテーマで、今までの集合住宅の住まい方とは質的に違うものを出したかった。エステティック(美学的)なもの、すごくとがったものを押し付けないよう、「十字プラン」、「分棟形式」、「内部の庭」などが生活の基本水準に直接フィードバックするよう、心がけた。
人の暮らし方にもいろいろある。今回は「十字プラン」というモデルはあるが、それをスタンプ式に押して同じような住戸が連なるのでなく、いくつかのバリエーションが展開されているものがいい、と考えた。それら個性的な住戸が一つの集合住宅に展開している方がいい、と感じた。
40㎡、1LDKという広さは、とりあえずベッドルームは確保できる。しかしそれほど広いというわけではない。寝室で休んでいないときは、その寝室スペースも活動スペースに参加させシェアする、曖昧にベターと広がっているものを作りたかった。
但し、単なるワンルームではなく、いろんなアーティキュレーション(分節)というか、キャラクターの違いを出している。場所ごとに条件が違うので、窓の切り取り
方、その窓から見える景色、天井の高さなど含めていろんなキャラクターが点在しているようなものを作りたいという思いが基本にあった。
賃貸で、25~29戸というと、全部の部屋が魅力的でなければならない。個性的にした分、ある部屋は「ごめんなさい」という犠牲は避けたかった。
壁は「ひる石(昔、公団などでよく見られた。)の左官仕上げ」だが、特に手仕事にこだわる趣味は持っていない。経済的な理由からだが、コンクリート打ち放しの壁にすると一つは音の問題がある。左官仕上げは吸音効果があるし、クロスやベニヤを貼るよりは多少汚れがあってもそれが風合いになる。白い壁に見えるが微妙に色を入れて、真っ白ではない。
同様に、型枠の仕上げも安い。ラワンベニヤの型枠の打ち放しは、化粧型枠の打ち放しより、マッシブである。自分は建築を基本的には塊で考えるので、それが肌に合う。やっていて自分の中ではきれいなものよりしっくりいく。 各住戸の玄関に設けられた「土間」は住戸により異なるなんともいえない広さ。
そこにも窓があったり、電気のコンセントがあったり、照明があったりして、靴で生活する、アクティビティの可能性を感じさせるかもしれない。全部がモルタルではなく、ある種の分節があるのだけど、ルーズなところがうまくいっていると思う。
また、生活しているうちに、どうしても普通の賃貸ではこぼれてくるものがある。室内で引き受けられない、ほんとは居住空間では見ないで済ませたいものも、今の日本の集合住宅では室内に入れざるを得ない状況がある。土間やテラスなどのバッファゾーンが、これらのものを引き受けてくれる。 3年前にイタリアに暮らして感じたことだが、集合住宅の住まい方が成熟している。その経験をある程度参考にして、日本でも、それほどスタイリッシュでなくても、そのような生活を楽しめるという水準の集合住宅が増えていけばいいと思う。
1階の表通りに面した部分には、外部から直接アクセスできるコートタイプの住居もある。SOHOとして利用していただければと考えている。

(長田直之氏談)

 

所在地:北区
構造:RC造、地上5階
用途:共同住宅
設計:長田直之/ICU+
竣工:2005年12月
施工担当:夏井・佐々木
写真:Kazuo Fukunaga

2013年1月25日 at 2:34 PM