29-3 岡本の家

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

竣工当時は、設計者であり建て主でもある、中村晃氏に取材をしていなかったため、SHINCLUB105号p4(メンテ魂第13回)で改めて建物について伺いました。

105号メンテ魂より

世田谷区の閑静な住宅街の斜面に建つ「岡本の家」は、自然に囲まれ、シンプルで真っ白な外観が美しい住宅です。建て主の中村氏 がご自身で設計を手がけられています。

竣工当初は外構工事を残されていましたが、少しずつ手を加えられて、1 年半ほど前にほぼ完成しました。同じ斜面の隣地にも家が 建ち、落ち着いた環境が確保されています。

中村氏と奥様にお話を伺いました。

中村 : 話はこの家を建てるときに遡りますが、 実はほかの土地にほぼ建 設を決めていたのです。
が、 この場所を見つけてほとんど一目ぼれ。 遠くに富士山を望める景色の良さ、 緑に囲まれた静かな環境で、 斜面 ということにもかえって設計のやりがいを感じました。
いったんは挫折しか けたのですが、 辰さんに調整いただき、 実際に建てることができました。
奥様 : これまで手を入れたのは、 応接間の床のカーペットを自分たちで 張り替えたこと、 1 階のリビングから、 庭にデッキを設け、 入口にゲート をつけてもらったことでしょうか。

中村 : 今回わかったのは、 「建物は竣工時に全部できてなくてもいい。 逆に、 少しずつ見直しながら、 アイディアをひねって作りこんでいくこと でいいものができる」 ということでした。
完成したら、 夢が終わってしまう でしょう。 未完成だった外構は、 少しずつ手を入れることで次々に新た なアイディアが沸くという感じで、 ほぼ 1 年半前に完成しました。
それを 機会に独立し、 自宅で設計事務所を始めることにしました。

この家にクライアントに来てもらって打ち合わせをすると、 100% 皆さん 納得してくださって成約してもらえます。 特に「斜面に家を建てるお客様」 は、 土地が安く手に入った分、 どうすれば建つのか、 工事にどのくら いかかるのかと不安ですから、 実際にプロセスをわかっていただくため に、 モデルルームとして非常に役に立っています。
ただ、その後法改 正があって、 この建物のような同じフロアに混構造のある建物が確認申 請を通すには、 昔より審査に手間取ることになるでしょう。
ここ数年で鉄 骨も値上がりしましたからね。 あの頃、 施工に踏み切ってラッキーだったと思いますね。

―ガラスの開口部側が鉄骨造で、 斜面の壁側が RC 造ということで、 開放的な空間を生み出しているのですね。
中村 : 隣接する南側の公園の斜面は、 うっそうとしていましたが、 竹 以外の雑木を区に伐採してもらったら、 予想以上に見通しがよくなっ て、新たな景色を楽しんでいます。
それから、近隣にお住まいの方々 には非常に評判がいいです。
高い建物にならないように、斜面に沿っ て建物の 3 階をエントランスにすることで、 周辺の既存の建物の景観 を損ねないように気を使いました。

一方で自然に囲まれているので、この 6 年間のメンテナンスというと、 なんといっても、 設備の故障が大きかったですね。

もうこれはしょうが ないことなんですが、 給湯器が不調なので調べてもらうと、 ガス管に アリの死骸がびっしり詰まっていたり、 エアコンの室外機は鳥が食べ 物を取っておく場所になったり。 鳥には自分の食べ残しを溜める習 性があるそうです。設備業者は「こんなことは都内ではめったにない」 とあきれていました。

奥様:隣の家が建つまでは、 毎日タヌキの親子が通っていましたね。 上のエントランスに池を作って、 水を張ったらカルガモが入ってきた んですよ (笑)

―鳥の鳴き声が聞えて、 ほんとに別荘に来たようです。

中村 : 下の庭はこれからの楽しみにとってあります。

―本日は、 どうもありがとうございました。

 

所在地:世田谷区
構造:RC造
規模:地上3階
用途:専用住宅
設計・監理:中村晃/アーキプラス
施工担当:夏井・内海
竣工2002年8月
撮影:編集部

2002年9月15日 at 12:15 AM