167-3 IKETEI VILLA

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

既存のビルに隣接して新たな「対比」を実現したオフィスビル

鞄メーカー㈱イケテイ東京店の「増築」である。「増築」と言っても、法規上の理由から建て増すことはかなわず、別棟を建設することとなった。
浅草橋駅近くの既存のビルは1989年竣工。伊東豊雄氏の設計によるもので、地上7階、鉄骨造。事務所・倉庫とショールームの機能を持っている。当時、伊東氏はガラスの表層性についての論文を書かれているが、アルミパネルとガラスのカーテンウォールのファサードは、時代のイメージを代表しているものであった。メンバーの一人が設計監理を担当した縁で、今回の設計を行う機会を得た。

新しい建物は、既存の建物をそのまま活かしたデザインを行うことも可能だが、時代は変化している。我々は、大災害を経験し、気候変動も含めこの先の環境問題について、柔軟に対応していく必要があるだろう。当時の表象性、抽象化に対して、踏襲しつつも、より実用的な、深層のあるファサードを考慮する必要性を感じた。
具体的には、既存のビルの横ストライプに階高を合わせて、ラインをそろえることで一体感を表出しているが、新しいビルでは各階に軒を設けている。80年代から90年代のオフィスビルの考え方では、空調は機械換気でおこない、気密性の高い窓で囲ってしまうものがほとんどだった。しかし、電力消費の節約が求められる今後は、天気の良い日は窓を開けるなど、外の環境と関わりのある空間を用意したい。その操作としての軒である。

一方、建築が軽さを求められた時代から、今後訪れるかもしれない災害に対し、力強い素材が求められていると感じている。外壁はアルミの代わりに、溶融亜鉛メッキ鋼板を採用した。
内部の構成は、1,2階がショップ、3階から上は倉庫や事務所などマルチスペースである。倉庫といっても、ただものを置いておくスペースではなく、バイヤーの方々が商品を見に来て発注する場であり、大きな展示会も年に何度か行われる。各階のアクセスが可能な限りスムーズに行われるよう直線的な内部階段を作り、また会社のオリジナルブランドが展開する2階のエレベーターはガラスのシャフトにし、視覚的に広がりを持たせた。1階の階段の壁には濃色の耐候性鋼板を用い、ブランドの持つテクスチャーの素材感と建築の内装の連動を図っている。

(みかんぐみ 談)

建て主様から

このたび、この東京店に3つのプライベートブランド、「フジタカ」「アックス」「シルバーレイククラブ」をご紹介するショップがオープンすることになりました。イケテイの世界観をトータルでお伝えできる「館=IKETEI VILLA」として、さらにじっくりとご覧いただけるようになります。
1階の「フジタカ」はエントランスのイメージ、落ち着いた雰囲気で、お客様をお迎えします。2階の「アックス」はテラス、白を基調に観葉植物などを配しています。その奥の「シルバーレイクラブ」は書斎です。木目の家具や本などを置き、趣味的な空間として打ち出しています。
ここを拠点に、より活発に情報発信していきたいですね。

株式会社イケテイ
VILLA事業部統括マネージャー
小川裕様

所在地:台東区
構造:S造
規模:地上6階
用途:店舗・事務所
設計・監理:みかんぐみ
施工担当:中村、古澤
竣工:2014年1月
撮影:アック東京

 

2014年2月15日 at 2:00 PM