181-2 リジェンティス株式会社

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

研究施設を兼ねた、ベンチャー企業の新社屋


医薬部外品、化粧品の開発を行う、ベンチャー企業の研究所付き新社屋である。
全長20mの旗状敷地。周囲はマンション、病院など既に高い建物に囲まれているため、建物は道路からほとんど見えない。建物自体をアピールしたり、道路沿いになければ機能しないというものでもない。また、騒音や悪臭なども出すことはなく、お客様がたくさん出入りすることもない、日常的には静かな施設である。建て主が示した、スタンフォード大の研究室のオーガニックなイメージを参考にしながら、以前のラボの使い方を踏襲し、こちらからも新たに提案を行った。

 日本で目にするほとんどの研究室は無機質で、部屋として独立した閉じた形のものが多いが、ここでは、建て主は研究を行いつつ、ディスカッションも行い、ときには接客も行う、といった具合に一人で何役もこなされる毎日を送っている。
オフィス全体を見渡せる吹き抜けをスキップフロアでつなぎ、必ずその先があるように期待させる、突き当りがないシークエンス。エントランスのすぐ横に配置することが多い応接室も、ここでは最上階に持ってきており、訪問者が研究スタッフの様子を感じ取ることができるようにしている。
周囲は建物に囲まれているが、いろんな方向から、空や屋上庭園の緑が見えるように開口部を設計し、圧迫感を軽減している。木や塗り壁という内装素材、曲線を用いたプランも住宅のような心地よさを作り出している。
社長を始め、好きなことを仕事にされているスタッフたちは、仕事を楽しむ引き出しが多い。それらを形にしていって、出来上がった建物である。

(木名瀬佳世氏 談)

所在地:国立市
構造:RC造 規模:地上3階
用途:事務所・クリーンルーム
設計:木名瀬佳世/木名瀬佳世建築研究室
施工担当:澤井、鄭
竣工:2014年12月
撮影:傍島利浩(⑤のみ木名瀬氏)

木名瀬佳世/木名瀬佳世建築研究室
1975年 茨城県生まれ
2000年 京都府立大学大学院卒業
スタジオ宙 入所
2013年 木名瀬佳世建築研究室設立
住宅、店舗、研究所や福祉施設の設計、大学では近世民家の研究をしてきたこともあり、古民家再生やマンションのリノベーションも積極的に取り組んでいる。

購入した自宅マンションの改修設計を自ら手がけ、それを見た仲介担当の不動産屋さんが、それまでの住戸からの変貌ぶりに感動。以来、「同じマンション内の物件や周辺の建物の改修設計をいくつもご紹介くださったのです」と木名瀬氏。今回のリジェンティス社の工事も、そのご縁で、木や左官など自然素材を使った内装設計が、柴社長のご要望にぴったり、と依頼されることになりました。
木名瀬氏は、今回、ちょうど出産を機にこれまでの事務所を辞めて独立。子育てをしながら、仕事にも打ち込める環境に移行しました。
今、家庭を持ちながら働く女性がたくさんいらっしゃいますが、木名瀬氏のように、良い仕事を続けることで、自分流の道を開いていくスタイルは、ライフワークバランスの取れた素敵な生き方ですね。

2015年4月17日 at 2:30 PM