186-02 更生保護法人善隣厚生会  

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

再出発を支える、開かれた空間

建物は、過ちを犯し、一定期間のお務めを終えて、新たに社会に復帰する人の準備期間を引き受ける施設である。
敷地には、これまで築約50年の4階建の建物が建っており、老朽化もあって建て直すこととなったのだが、既存の建物は一部鉄格子も設けられて、閉ざされた空間であった。
これまで閉ざされた空間で過ごしていた人が、新たな人生を歩むためには、もう少し明るい希望と夢を持てるような施設を計画したい。そのためには建築は、社会に対しても開かれた空間であるべきだと考えた。

まず入居者の部屋は、20人収容という与件のため、2人部屋となっている。最近は、どんな施設も1人部屋が基本かもしれないが、使い勝手の良いレイアウトにし、この建築の中心となる、大きく天空が見える吹抜空間に対して開放し、部屋の窓を通して光と風が降り注ぐ、自然の良さが体感できる空間とした。
一方、周辺は住宅街であり、あまり開放してしまうと、プライバシーにも問題が出るとのことで、鋼製のフレームに木製ルーバーで閉じた外殻を作り、視線を避けることとした。ベランダデッキも大きく取って入居者間のコミュニケーションを図りたかったが、管理者側の一定の配慮を優先させた。
1階の食堂の前にはデッキを設けて、地域住民とのコミュニティの場となる、開放的なスペースを設けた。例えば餅つきなどの行事を通じて、生活することの楽しさ、自分達も同じ社会の一員であるという感覚を少しでも感じてもらえたらと思う。

罪を犯した人の社会復帰にはいろいろな意見があると思われるが、建築だけではなく、社会全体が彼らを受け入れる意識が必要ではないか。特にその再出発の最初の支援がスムーズに行くことを願っている。

(林康弘氏 談)

所在地:渋谷区
構造:S造
規模:地上3階
用途:共同住宅
設計:林康弘/アーキステーション
施工担当:松沢
竣工:2015年7月
撮影:淺川敏

2015年9月19日 at 10:49 AM