27-2 GRETO 登戸集合住宅

竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

 

SC27 トーク 「デザイナーズマンション内覧会」から

5月18日、弊社施工で竣工した「登戸集合住宅(仮称)」の内覧会に行ってきました。デザイン性のすぐれた賃貸集合住宅を数多く供給している、タカギプランニングオフィスの企画です。
タイトルの「デザイナーズマンション」という呼び方、作り手としては「あまり使いたくない・・・」という人もいますが、通りかかった宅配配達業者が建物を見て、「あ、デザイナーズマンションだ」と言ったそうですから一般市民に浸透した言葉という意味であえて使うことにさせていただきました。

募集戸数は全7戸。Aタイプ44.58㎡または42.39㎡とBタイプ34.63㎡の2種類です。この日の内覧会は午前、午後あわせて20組の参加申し込みがあり、前日の申込者を加えるとかなりの数になりました。
さて、今回の内覧会で私は、大手デベロッパーマンションのパースのCG製作をするという30代のAさんご夫婦に同行しました。渋谷道玄坂にオフィスを構え、そちらの家賃が15万円、現在お住まいの登戸の
マンションの家賃が9万円ということです。実はAさん、先日、都市基盤整備公団の賃貸型SOHO住宅「シティコート目黒」に申し込み、見事はずれてしまったのだそうです。募集倍率はなんと100倍。11戸だけの募集とはいえ、やはり人気がありますね。まだまだ市場に対して本当に必要とされるものの供給が不足している表れです。
公団の「シティコート目黒」は、SOHO型住宅として必要不可欠な「ブロードバンド常時接続環境」が月額1750円(NTT-ME、WAKWAKピアルの「BB-EAST」)で手に入るほか、電話回線が2回線引き込め、電源容量も希望により100Aまで増量ができるなど、いろいろと条件が整っていたそうです。20万円前後の家賃も、Aさんにとっては、「両方の家賃を1つにすればOK」ということでした。
Aさんのようなクリエーターにとって、このようなSOHOスタイルのデザイナーズマンションは、オフィスとしても住宅としても視野に入れておきたい物件だそうです。この登戸では現在ブロードバンドの設定をしていませんが、来年4月に小田急CATVの導入を予定しています。

コンクリート打ち放しの外観は周辺のマンションに比べて、やはりデザイン面では際立っています。全戸に共通して、照明はあえてスポットだけで抑え目。床の仕様はバリアフリーで、コルクタイル。全
戸床暖房完備で、エアコンも配備しています。ワンルームを自在に仕切る箱型移動家具は視線を遮り、部屋のレイアウトを自由に決められます(全戸に各3本設置)。スケルトン&インフィルマンションの定番アイテムでしたが、設計の野口さんによると、最近ではこの移動型家具ですら撤去してほしいという人が増えてきたそうです。窓は複層ガラスで、断熱に配慮しています。ワイヤー入りの外側のガラス厚は6.8mm、内側は3mmで、防音効果もまずまず。(遮音性能はガラスの厚さ、遮断したい音の周波数によっても異なります。)
小田急線に近いBタイプの方では、現在高架線の工事が行われているため、現状ではかなりの騒音があります。しかし、「工事が終了すれば新しい高架線はわりと静か」と、すでに登戸の事情に詳し
いAさん夫婦は特に問題にしていませんでした。
洗面所の大きな鏡、シンプルなデザインの洗面台に、「さすが違うな~」とAさんは感嘆の声。普通のワンルームだと、どうしても決まりきったコンパクトタイプの洗面台が入っていてがっかりするそうで
す。脇にも小窓があり、奥の風呂場も窓が明るく、風通しの良い空間になっています。
Bタイプのリビングは北側と南側に大きな窓が開いているので開放感があります。ただこちらは「Aタイプに比べて、夫婦の住居用としてはやはり、せまいかも」と奥さん。「こういうところに住むとしたら、今あるモノを捨てなくちゃね」とおっしゃっていました。いずれにしても、打ち放しの内装は、部屋のレイアウトイメージが広がります。
「一度RCのマンションに住んでしまうと、木造や鉄骨にはもう住ませんよ」というAさん。今回のこの物件について、天井の高さ、余計なデザインをしないというデザイン性などがすっかり気にいった
様子です。また、上の階では、大きな窓からの景色が圧巻。夏の花火大会の会場はすぐ目の前です。

「花火のときは、屋上も開放してくれるのかな。友達を呼んで、楽しめそうですね。」と期待大。眼下の川原ではつりを楽しんだり、散歩やサイクリングをしている人も見かけました。
最近の河川行政は、護岸をコンクリートで固める防災一辺倒のものから、「多自然型川づくり」という考え方に移っています。ちょうどこの登戸の少し上流の調布市染地には、水辺の生物に配慮した「ワンド」という大きな中洲が再生されています。本来の水辺の自然を取り戻そうという目的で作られたものです。川辺だからこそ得られる豊かな暮らしをもっと大事にしていきたいものです。

最後にAさんに感想をうかがいました。
「自分たちが仕事で描くパースのマンションは、おそらく今一般のファミリータイプとして一番流行っているスタイルのものだと思います。テラスは広々としているし、大きな開口部が取れ、リビングと
テラスとの一体感が出るといったもの。だが、外見的にはどれもこれも同じ雰囲気。それでは住む方としてはつまらないですね。やはり面白いデザインのもの、機能的に良いものに住みたいといろい
ろ探しています。」 「これからも施工会社として、いい建物をつくってくださいね。ニーズはあるんだから」とAさん夫婦に励まされて終えた内覧会でした。

<オーナー邸検査にも同行>
4,5階を螺旋階段で結ぶメゾネットタイプ。こちらは断熱材を入れているほか、各部屋を使いやすいように仕切っている。またフロアはバリアフリー、バス・トイレも車椅子対応のものを採用。キッチン
の、IHクッキングヒーターは、6月から登場した東京電力の「スマイル・クッキング割引」で電気料金
が3%割引になる(ただし、夏場はのぞく)

<建築概要>

所在地:川崎市
構造:RC造
規模:地上5階
用途:共同住宅
設計・監理:野口信彦/ノグチデザイン室
竣工:2002年5月

2002年6月12日 at 9:00 PM