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255-1 ターニングポイント

写真は東麻布に昨年11 月に竣工したホテル 「2269 AZAVU」です。代々続く老舗と今どきのカフェなど新旧の店舗が入り交じる麻布。麻布十番から赤羽橋に向かって環状3号線を5 分ほど歩くと通りの内側は低層マンションの並ぶ落ち着いた雰囲気のエリア。そこに2019 年夏から、ホテルの施工を承ることになりました。

コンクリートの積み木を重ねたような打ち放しの外観が目を引きます。通りから見ると窓もなく、どんな建物なのか想像が膨らみます。「都会にいても、あえて窓をなくした閉鎖的外観にすることによってプライバシーを保ち、室内に入ると壁いっぱいの窓や吹き抜けで解放感のある安らげる場になっています。ソフト面では建物の中で味わう特別な時間、食事やサービスにこだわって運営しています。自分自身で勉強のために何度も宿泊していますが、夕方や朝など、光の入り具合が素晴らしいです。打ち放しのコンクリートも施工会社さんや設計によって雰囲気が変わるものですが、好きな風合いに仕上がりました。いい建物ができたなと思います」とオーナーの古木様。

古木様にとっては、これが初めてのホテル運営となります。経験もなく戸惑うことはありませんでしたかと伺うと、「実際は逆に何もわからない分、苦労していないんですよ。完成後、個人的にホテルの運営に参加していますが、コンセプトなどが自分の中にいろいろと出てきて、それらをどんどん成長させていっています。『ホテル運営』はホスピタリティや従業員のサービスがとても大事なので、いい人材いいチーム作りを重要視しています」

コロナ禍でオープン前の3 月4 月は本当に予約が入るのか心配だったそうですが、現在、稼働率も8 割強と順調です。きちんとサービスを提供してお客様に喜んでいただくことが大事だとお気付きになったそうです。「今回初めてプロジェクトマネージャーになり、ホテルの運営までをすることになりましたが、やってみたら思いのほか楽しい仕事でした」

結果的にこれがきっかけとなり、代表取締役をされている会社で、建設するだけの予定だった熱海のホテルも「自分たちで運営しよう」と経営チームを作り始めたそうです。「今、まさに着工を控えていますが、3 棟現場で数年かけて建てるプロジェクトです。元々時間があれば海外でもどこへでも泊まりに行くのが好きで、旅館やホテルの経営に興味はあったのです。それでも、自分のやってきたことは不動産とIT なので、リアルサービスを提供することに自信がなかったのですが、東麻布のこのホテルがターニングポイントになりました」ゆくゆくは、日光や湯布院、沖縄の瀬底島などにも進出したいと思っているそうです。

255-2 2269 AZAVU

閉鎖的な建物の中で味わう特別な空間

東麻布の大通りを一本入った住宅街にあるホテルである。「閉鎖」と「安らぎ」、一見正反対の要素が両立することで都会の隣接した建物の中落ち着ける空間ができた。初めて訪れる人はどこがエントランスなのか分からないかもしれない。一歩中に入ると黒を基調とした落ち着いたインテリアは非日常の空間である。

宿泊するだけの施設にしたくないという思いでエンターテイメントを一つ楽しんでもらおうと、飲食に力を入れている。ただ今、無料でプリンを提供しているが、それも調理場でシェフが作っており、大変好評で皆さん完食されている。韓国ブームに乗って韓国料理を日本全国に一気に展開した、クリエイティブな料理人がマネージャーをしており、料理がとにかくピカイチ美味しい。全て調理場で作って同じ値段帯のビジネスホテルのルームサービスと差別化をしている。

現在、緊急事態宣言中であり、アルコールの提供ができない中、今までと違い宿泊者のニーズはより食事のクオリティを求める方向にあると思っている。

宿泊者も県外の方は少なく、東京都内の方が圧倒的に多いが、都内の方々がなぜ泊まるのかというと、終電を逃したとか、コロナ禍で自分にちょっとしたご褒美という方も多い。それに対して、ただ単純に泊まるだけではなく、この閉鎖的な建物の中で特別な時間を過ごして頂きたいという想いから、食を始めとした、サービスの充実を図っているのである。

今後宿泊業界は必ず、復活すると思っている。その時に備えて稼働率とスタッフのモチベーションを保つことが大切だと感じている。

(株式会社Robot Home 代表取締役 古木大咲氏 談)

構造︓RC 造
規模︓地下1階、地上5階
用途︓ホテル
施工担当︓鯨津・竹原・細谷・渡辺
竣工︓2020 年11 月
撮影:アック東京

255-3 アットホーム 新東部センター

受け継いでいくもの

不動産情報メディアや不動産業務ソリューションなどを提供する「アットホーム株式会社」の施設である。元々の「東部センター」は30 年前に千葉県市川市の原木インター近くに建てられ、” 千葉の窓口” としてエリアをカバーしていたが、次第に手狭になってきた。そこで同じ市川市内で土地を探し、広さがおよそ2、3 倍となる敷地を確保できたことで、今回の計画がスタートした。「入居する系列会社を1社から2社へ」という与件も、今回の計画決定の大きな要素である。

「使い勝手の良さとコストパフォーマンスを考え、なるべくシンプルに」というご要望を意識して、最初は倉庫も一体にした3 階建てを計画した。が、系列会社2社のうち1社が、倉庫内の備品管理や商品を扱う会社だったこともあり、倉庫と事務所を分ける2棟構成にした。そして倉庫を軽量鉄骨にすることで、大幅なコストダウンを図った。

一方、事務所棟では、2 階に本来必要ではなかったバルコニーをあえて設け、隣地の自然を取り込み、解放感ある空間を演出した。バルコニーの手すりは、ガラスの内側に設置することで、シンプルな外観を維持している。また可動式の庇も、収納した時にすっきりと収まるよう、ディティールにはこだわった。1 階は物品の搬出入用に大きなシャッター1枚を想定していたが搬出入時以外は人が通れる大きさがあればいいので、使い勝手を考え、小さなシャッターをもう1枚取り入れた。

事務所棟の1 階は印刷工場である。「工場」というと無機質で単色のイメージが強いが、階段などの手摺にカラーを取り入れることで遊び心を表現。また、建物の隣が原生林なので開口を作り、緑を眺められるようにした。外壁などの仕上げ材は、大田区の本社で使用しているものと同じものを使うことで、場所は離れているが建物としての繋がりを意識した。この会社のこだわりが、長い歴史の礎として後世へ受け継がれている。

(三木俊治氏/株式会社 建築集団フリー 代表取締役 談)

構造︓S 造
規模︓地上2階
用途︓工場・事務所・倉庫
設計・監理︓(株)建築集団フリー
竣工︓2020 年12 月
施工担当︓尾内・富樫
撮影︓アック東京

255-4 新入社員本社研修

4 月9 日から2021 年度新入社員の本社研修が始まりました。研修では現在新築工事を行っている現場の図面を元に、実地に即した指導が行われています。
最初は見積チームによる積算研修。研修では、神宮前3丁目のビルと神田のビルの図面を元に、躯体の積算を行いました。
「細かい数字を一所懸命拾い計算するのは骨が折れた」という新入社員たちでしたが、細かい疑問などを偶然居合わせた開発営業部長に質問している姿は「習得するぞ︕」という強い意欲が感じられます。
技術部長によるCAD 研修では、市ヶ谷で行われているプロジェクトの図面をトレースする作業を行いました。
今年の新入社員はCAD 経験者が多いのですが、未経験者にも分かりやすく丁寧な指導が行われていました。
6月7日から始まる現場研修では2週間ごとのローテーションで実際の業務を行います。現場事務所の雰囲気や、新築現場の空気を直接肌で感じ、7月からの本配属へ志気を高めてもらいます。