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239-1 街の進化

「ESCENARIO OMOTESANDO」 撮影:バウハウスネオ

表参道ヒルズなど大きな商業ビルが立ち並ぶ神宮前。大きな通りの裏手には静かな住宅街が広がり、小粋な店があちこちに建っています。
写真は、その神宮前に昨年、竣工した店舗併用集合住宅です。

「この街は、昔の自由が丘、その前の代官山や吉祥寺に通じる、街の進化を見ることができる面白い場所でもある」と設計の木下道郎氏。
「街は、渋谷、新宿、銀座…など、巨大な商業地域だけではなく、進化で言えば、ほどほどの時期が一番面白くて、魅力的だと僕は思いますね。都市というのは、ものと同じように成長し、衰退していく。ものすごく大きくなって活力にあふれる時期が来る。でもその前に生き生きとした、魅力的な時期があって、僕はこの、ちょうどほどよい時期を迎えている神宮前で、今仕事ができることをとてもラッキーだと感じているんだ」と話してくださいました。

リーマンショックの後、プロジェクトが止まってしまって空き地になっていたところがたくさんあった神宮前。いまや新たな建物が建てられ、戸建住宅から集合住宅や小さな店舗ビルに建て替わるところも少なくありません。
その時にも、これまでのようにプライバシーとセキュリティに配慮した、外へは閉じた形のものよりも、最近ではリニューアル物件同様、地域に開かれた形を組み込んだデザインのものが多く見受けられます。小さなスペースでも、その路地を工夫することで、地域の人の関わり方を効果的に変えることができます。災害・エコロジーに配慮し、耐震・防火性能を持った建物、共用スペースに開放感あるプランで、エコにも配慮した形が求められています。クリエイティブな人々が往来する地域に建つ建物としての、デザイン性の高さも捨てるわけにはいきません。

ファミリーレストラン最大手「すかいらーくホールディングス」が、半世紀にわたって続けてきた24時間営業をすべての店でやめることになりました。24時間営業を廃止する動きが広がった背景に、SNSのおかげで、若い人たちがわざわざ深夜に会ってコミュニケーションをとる必要がなくなったということがあるそうです。
しかし、自宅近くに何となく立ち寄れる場所があるというのもいいものです。人と人との出会いは、やはり生身の人間同士が話をすることから始まります。

今月、P3のフロントラインに登壇いただいた㈱モデリアの郷内秀峰社長は、学生の頃から留学経験が豊富で、特に好きだったのがロンドンとおっしゃいます。「初めて買ったレコードもビートルズ」とのこと。日本と英国は、エンペラーとキングダムの国。しっかりとした、揺るぎのない価値観を持つ、共通のものを感じるということです。その上で、海外に出ると、国内では気が付かない世界の中での日本の位置を実感されるのでしょう。

一時期、減ったといわれている日本の海外への留学生数もアジアなどへの短期留学生の増加で数は増えていますが、このままではますます国際化やグローバル化が進む国際社会の中で発言力や存在感を失うと、いわれています。
若い人には、海外とは言わないまでも、まずは街へ出て、人とコミュニケーションを取る力を養う機会は持ち続けてもらいたいものです。

安全で清潔で素晴らしい自然環境を持つ日本にやってくる外国人を抜きにしては、これからの地域経済も語れません。
春節で訪れる中国の人たちの多さに喜んでいたのも束の間、今年は新型肺炎の流行という恐ろしい事態が引き起こされています。世界はいろんな意味でつながっているのだと、改めて思い知らされています。

239-2 ESCENARIO OMOTESANDO(エスセナーリオ 表参道)

人気の神宮前に街に開かれた
スマートラグジュアリーなマンションが誕生

夕景に浮かぶ建物中央のルーバーからの光。ルーバーの内側は、実は半戸外に設けられた階段。建物内部に風と光を心地よく送り込んでいる。
商業地域と閑静な住宅街が混在する神宮前というエリアを踏まえ、店舗と集合賃貸住戸7戸をシンプルな打ち放しコンクリートで構成したマンションである。

モデリアとの神宮前でのプロジェクトとしてはこれで3棟目となる。ちょうど今回の建物の前の通りを西側に数ブロック進んだところに前回のプロジェクトである集合住宅が建ち上がったのだが、敷地が接する私道を「ALLEY」と名付けて、建物に取り込みながら1つの界隈を作ることができた。

今回は、より店舗の多い通りに近い分、商業のポテンシャルが高いので、1階は店舗としている。地下1階の住居はSOHO可能に、2-3階の住戸もそれぞれ個別のプランをつくり、より街に開いた形を意識している。特に開口部の前に縁側のような中間的なスペースを設け、天井の高さを変えたり、床の仕様を変えたりしている。

構造的にも、梁を設けた外側が壁の外部となり、「縁側」の天井にダウンライトを等間隔に入れて、外部のように見える仕掛けを施している。

1階の店舗も、より地域に開いた形の、以前中目黒で行った集合住宅のようにカフェやバーなど誰でも立ち寄れる店を想定していた。が、経済的ポテンシャルが高く、カットハウスとジュエリーの店が入ったのは、自分が出入りできる機会が少なくなってちょっと残念。
設計者は、自分の設計した建物の行く末はずっと見届けたいものなのである

(木下道郎氏 談)

【ESCENARIO OMOTESANDO】
所在地:渋谷区神宮前3-5-9
構造:RC造
規模:地下1階、地上3階
用途:店舗2戸・共同住宅7戸
設計・監理:木下道郎/ワークショップ
事業主:秀光建設
企画:㈱モデリア
施工担当:奥村
竣工:2019年8月
撮影:バウハウスネオ

239-3 郷内秀峰/株式会社モデリア代表取締役

グローバルな要請に応える

―今月は、「ESCENARIO OMOTESANDO」の企画・開発を行われた、株式会社モデリアの郷内秀峰代表取締役にお話を伺います。

―御社がスタートされたのはいつからですか。
郷内:2012年からです。東京都心の投資用収益物件の企画・開発をマネジメントしています。弊社のような中小企業は、パワービルダーにはかないません。そのため、ターゲットは、ある程度余裕のある富裕層の方々を想定し、しかも、私自身が若い時にはなかった、自分が住みたくなるような魅力的な賃貸住宅を提供したいと考えました。都心でありながら、自然の開放感があり、いつも光・風が感じられる、気持ちのいい、賃貸住宅です。

―これまで展開されているモデリアシリーズは、心地よさと高次元のハイグレードレジデンス「Court Modelia」、エッジな感性で磨き上げた「辛口」のエコでセンシティブなデザイン「Modelia Brut」、東京の好感度エリアで「等身大の自分」を大切にしたい人のための「Modelia Days」、再生をテーマにしたコンバージョン集合住宅「Modelia Colors」などのシリーズがありました。弊社が以前施工させていただいたのが、「Modelia Brut YOYOGIUEHARA(設計:木下道郎)」だったのですが、今回新たに展開されている「ESCENARIO」(エスセナーリオ)はどのようなものですか。

郷内:「ESCENARIO」はスペイン語で「舞台」という意味です。東京という魅力的な都市で、ワンランク上の暮らしを主役として演じていただきたいと新たなブランドを考えました。外資系ファンドなど、弊社の海外の顧客の方にもピンとくる言葉にするため、英語、フランス語ではないスペイン語を採用しました。特に、表参道などリッチでプレミアムなブランドエリアを選定して、知性と感性にあふれる人が、日々の暮らしの中で主役を演じるのにふさわしい舞台を作り出します。

―HPで拝見すると、積極的に海外の建築アワードに参加されているようですね。

郷内:事業主の秀光建設㈱の大橋伸光社長と5年前に出会い、設計の佐々木龍一先生と2人3脚で事業の企画を行ないながら、積極的に海外の建築の賞に応募しています。今や国内のデザインレースに出すよりは、効果がありますから。

この2月にも、「Modelia Brut KAGURAZAKA」が「German Design Award」を受賞したので、フランクフルトに行く予定です。

―素晴らしいですね。海外の方から、日本の建築家は実際、どんな評価を受けているのですか。また、海外の建築の賞はWEBサイトだけではなかなかわからない部分もあるのですが。

郷内:日本の建築家は評価は高いですし、興味津々で見られていますね。海外では日本のコンパクトでシンプルなデザインの空間は「どうやったらできるんだ」という驚きもあります。
昨年、オランダの「WAF(World Architecture Festival and awards)」に参加したのですが、世界中から500人以上の建築家、住宅機器メーカーが集まっていましたね。10か所以上で、各チーム20分という持ち時間でプレゼンテーションが行われていました。「共同住宅」のカテゴリーで、英語が堪能な設計の佐々木先生と一緒に、私もステージに立ちました。

日本はグローバルマーケットの中では相当出遅れています。香港、NY、ロンドン…、世界中の都市から見ると東京は本当に賃料も安いし、日本全体で見れば不景気になるといわれていますが、銀座、渋谷、表参道、麻布十番などの都心の一等地は、東京オリンピックが終わってもブランドエリアとしては、まだまだ間違いない投資先なのです。

しかし、私たちは、単に建物を企画して作って売っておしまい、ということをしているのではありません。貸主になって管理し、運用を行うという責任を持ちます。だからこそ、いいものを建築家の方と一緒になって企画します。時代性を象徴するような、例えばバブルの時の大理石や御影石を採用した部分などは、そこから古びていきます。プレーンなつくりで時代に左右されないものが建物として残っていくと考えています。今後もグローバルな視点で、よいデザインのものを商品としても成り立つように作っていきたいですね。
―本日はありがとうございました。

代表取締役 郷内 秀峰
所在地:東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル43F
東京都知事免許(2)第95319号
電話:03-5909-5525 FAX:03-5909-5527
事業内容 : 投資用収益不動産の企画・開発・マネジメント、不動産コンサルティング・マネジメント

従来型マネジメント業務は、遊休地の有効活用や老朽化建物のリノベーション等の問題に対する第三者的立場でのパートマネジメントなアドバイスが中心であるが、モデリアでは、事業理念の策定に始まり、マーケティング・プランニング・プロジェクトマネジメントを経て完成後のリーシングに至るまでを、事業主様代理の立場で一貫してお手伝いさせていだくトータルマネジメントを行っている。
不動産活用の新しい価値軸を提案し、ユーザー視点で企画した商品の設計から入居管理までの工程を、トータルで戦略的にマネジメントする。株式会社モデリア

239-4 2020年度 株式会社辰 安全衛生協力会 安全大会開催 2020年1月22日

1月22日、渋谷ストリームホールにおいて2020年度辰安全衛生協力会の安全大会が開催されました。安全衛生協力会は、辰と協力会社の皆様が無事故無災害を目指す活動を行うものです。今年の参加者は協力業者様、辰社員合わせて170 名でした。

はじめに小関邦昭安全衛生協力会会長の挨拶、夏井安全衛生委員長の報告に続き、来賓の高橋明池田建設㈱取締役、平塚一之㈱ライフポート西洋代表取締役の挨拶をいただきました。特に重大事故につながる事例があったことについて、池田建設㈱高橋取締役のお話は全社員の心に刻まれるものでした。

第1部は、安全パトロールなどの活動報告、決算報告、次年度活動計画・予算案承認、新年度役員改定(今年は全役員重任)に続き、通例に従い、安全作業所の表彰、安全標語入賞作品紹介が行われました。社員代表による安全宣言と最優秀賞を受賞した標語を全員で唱和し、終了しました。

続く第2部では今期の業績について、㈱辰岩本代表取締役より数字を挙げての報告が行われ、目標達成への改善に向けて、協力業者様に更なる連携をお願いしました。その後、優良協力会社、匠の発表が行われ、各部署の現況報告と営業褒賞授賞が行われました。

第3部は、東京スカイツリー建設に携わった現役鳶職人、多湖弘明氏による講演会『「安全」は選択である。自覚から始まる現役鳶職人のマインドセット』が開かれました。大変興味深いお話に会場は聞き入っていました。

多湖弘明氏プロフィール
鳶職人・株式会社Office Hit 代表

東京スカイツリーなど数々の高層建築物に携わる。現役の鳶職人でありながら、現場写真展や著書の執筆を通じて知られざる鳶の世界を伝えている。雑誌Pen『世界に誇るべきニッポンの100人。』特集に選出される。2014年に著書『鳶 上空数百メートルを駆ける職人のひみつ』(洋泉社)を刊行。
WEBサイト『鳶』をはじめとする複数のWEBサイトも運営。
『鳶』:http://tobisyoku.net/